一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

2024年6月28日(金) 14:40 〜 16:10 ポスター会場 (大ホールC)

[認定P-25] 誤嚥性肺炎後に外来通院にて摂食嚥下リハビリテーションが著効した症例

○柳田 陵介1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【緒言・目的】
 誤嚥性肺炎患者は治療後も誤嚥リスクが高く,再発を繰り返す傾向にある。今回,誤嚥性肺炎後に外来通院を開始した高齢者に対して摂食嚥下リハビリテーションを行い,食形態および口腔機能が向上した 1 例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 82歳,男性。高血圧症,逆流性食道炎の既往あり。2021年7月に誤嚥性肺炎にて急性期病院に入院後,回復期病院を経て8月に退院した。退院後,主治医からの嚥下機能検査の依頼により当科外来受診。初診時の食形態は回復期病院退院時の指導により全粥,一口大,水分とろみなしとされ,食事時間は20分程度であった。嚥下機能評価により液体コップ飲みの誤嚥および検査食の咽頭残留を認めたものの,息こらえ嚥下では誤嚥を認めず,初診時には息こらえ嚥下,食事ペースの調整および開口訓練を指導した。1か月後の再診時には食事ペースおよび咽頭残留が改善したものの,液体の誤嚥は改善を認めず,水分へ1%濃度でのとろみ付け指導を行った。その後,介護認定を受けてデイサービスに通うようになり,身体活動量が増えたことにより,飲水量および食事量が増加した。初診時は体重が52.4kg(BMI:19.5kg/m2)であったが,半年経過後に体重が56.8kg(BMI:21.1kg/m2)まで増加した。初診時に全粥,一口大だった食形態は,誤嚥性肺炎発症前の常食まで回復した。とろみ付けの手技は良好で,現在まで自身でとろみ付けを行っている。また口腔内所見として,舌圧は29.2kPaから40.8kPaまで向上したほか,清掃指導を行ったところ舌苔スコアは18(100%)から2(11%)まで改善した。現在までに誤嚥性肺炎の再発もなく経過している。
 なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 誤嚥性肺炎は再発率が高いことが知られており,入院中のみならず,退院後の生活期にも適切な食形態の指導や摂食嚥下リハビリテーションを受けることが重要である。当患者はこれまで誤嚥性肺炎の再発に至っておらず,その理由としては当科外来の受診により摂食嚥下リハビリテーションにつながったこと,ADLが高くコンプライアンスが高いことが考えられる。加えてデイサービスの利用で身体活動量が増加したほか,他者との関わりの機会も増加したため,生活の質も改善されたと考えた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)