[認定P-28] 心筋梗塞による蘇生後脳症及び脳梗塞後に経口摂取を確立した1症例
【緒言・目的】
摂食嚥下リハビリテーション(以下嚥下リハ)の実施により経口摂取再開となる症例は多く経験するが,経口摂取確立となる症例は少ない。今回,蘇生後脳症及び脳梗塞後に禁食となったが嚥下リハにより経口摂取を確立した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
患者は65歳女性。心筋梗塞による心停止で搬送され気管切開後人工呼吸器管理となり胃瘻増設した。退院後経口摂取の希望があり嚥下リハ介入となった。初診時ADLは全介助,食事は3食胃瘻で,とろみ付き水分を数口摂取のみだった。気管カニューレはスピーチカニューレを使用していた。嚥下内視鏡検査(VE)では誤嚥を認めず家族へ直接訓練を指導した。歯科治療の際,当科では心筋梗塞再発リスクを考慮し抗血小板薬を休薬せず抜歯をし,義歯修理をした。徐々に経口摂取量を増やし,翌年常食とろみなし水分が3食摂取可能となった。誤嚥をしなくなった事により呼吸状態も改善し,気管カニューレ抜去を主治医に依頼した。その後,気管孔が自然閉鎖せず主治医より気管孔閉鎖術を実施した。再初診時の報告書では,閉鎖術の際に抗血小板薬休薬となり,その後脳梗塞を発症し入院中に3食胃瘻になったとあった。退院後の再初診時には四肢の拘縮を認め頭部は後屈位であった為,姿勢調整を指導した。VEでは誤嚥を認めなかったが,口腔内残留が著明であり上顎義歯をPAPへ修理した。翌年にはリクライニング車椅子上での生活が可能となり,常食とろみなし水分が3食摂取可能となった。胃瘻はこれまでの経緯を考慮し抜去せず保存とした。
【考察】
本症例では蘇生後脳症の嚥下機能への影響が少なく,脳梗塞部位が右中心前回であり脳幹は保たれており我々の適切な嚥下機能評価とPAP等の歯科治療により嚥下機能が向上したと考える。また,家族が訓練の重要性と手技獲得に協力的であったことも経口摂取確立へ繋がったと考えられる。誤嚥をしなくなったことで呼吸状態が安定したため気管カニューレ抜去ができたと考える。今後は嚥下障害が悪化しないよう適時義歯調整や抜歯時は抗血小板薬を休薬しないことが必要と考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
摂食嚥下リハビリテーション(以下嚥下リハ)の実施により経口摂取再開となる症例は多く経験するが,経口摂取確立となる症例は少ない。今回,蘇生後脳症及び脳梗塞後に禁食となったが嚥下リハにより経口摂取を確立した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
患者は65歳女性。心筋梗塞による心停止で搬送され気管切開後人工呼吸器管理となり胃瘻増設した。退院後経口摂取の希望があり嚥下リハ介入となった。初診時ADLは全介助,食事は3食胃瘻で,とろみ付き水分を数口摂取のみだった。気管カニューレはスピーチカニューレを使用していた。嚥下内視鏡検査(VE)では誤嚥を認めず家族へ直接訓練を指導した。歯科治療の際,当科では心筋梗塞再発リスクを考慮し抗血小板薬を休薬せず抜歯をし,義歯修理をした。徐々に経口摂取量を増やし,翌年常食とろみなし水分が3食摂取可能となった。誤嚥をしなくなった事により呼吸状態も改善し,気管カニューレ抜去を主治医に依頼した。その後,気管孔が自然閉鎖せず主治医より気管孔閉鎖術を実施した。再初診時の報告書では,閉鎖術の際に抗血小板薬休薬となり,その後脳梗塞を発症し入院中に3食胃瘻になったとあった。退院後の再初診時には四肢の拘縮を認め頭部は後屈位であった為,姿勢調整を指導した。VEでは誤嚥を認めなかったが,口腔内残留が著明であり上顎義歯をPAPへ修理した。翌年にはリクライニング車椅子上での生活が可能となり,常食とろみなし水分が3食摂取可能となった。胃瘻はこれまでの経緯を考慮し抜去せず保存とした。
【考察】
本症例では蘇生後脳症の嚥下機能への影響が少なく,脳梗塞部位が右中心前回であり脳幹は保たれており我々の適切な嚥下機能評価とPAP等の歯科治療により嚥下機能が向上したと考える。また,家族が訓練の重要性と手技獲得に協力的であったことも経口摂取確立へ繋がったと考えられる。誤嚥をしなくなったことで呼吸状態が安定したため気管カニューレ抜去ができたと考える。今後は嚥下障害が悪化しないよう適時義歯調整や抜歯時は抗血小板薬を休薬しないことが必要と考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)