The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

[摂食更新P-01] 当院摂食嚥下支援チームの介入により経口摂取が可能となった2症例

○貴島 真佐子1 (1. 社会医療法人 若弘会 わかくさ竜間リハビリテーション病院 歯科)

【緒言・目的】
 2022年度診療報酬改定において,中心静脈栄養や鼻腔栄養等を実施している患者の経口摂取回復に係る効果的な取組を更に推進する観点から,摂食嚥下支援加算について要件及び評価が見直された。当院は,2022年5月より摂食嚥下支援チーム(Swallowing Support Team,SST)を発足し,活動を行っている。SSTの活動は,急性期施設での活動報告が多く,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ),療養病棟の中・長期的な支援経過の報告は少ない。今回,SSTの介入により経口摂取可能となった回復期リハの2症例について報告する。
【症例および経過】
 72歳,男性。延髄梗塞。経鼻経管栄養管理。初回VF検査にて,喉頭蓋の反転不良,右食道入口部開大不全,重度咽頭期障害を認めた。第 34病日からSST介入。 ST,歯科によるバルーン拡張法の咽頭期への対応と栄養法はIOE法への変更を行った。嚥下のリハプログラムや負荷量の助言,指導を行った。同時に NSTによるモニタリングを行い,食事形態と回数を適宜変更した。さらに咀嚼訓練,咀嚼から嚥下運動への協調運動パターン訓練を強化し,食事形態の向上を目指した。第122病日,3食経口摂取が獲得となり,SST介入終了となった。第160病日,FOIS Lv.6となり自宅退院となった。
 83歳,女性。右被殻出血。経鼻経管栄養管理。認知機能低下,注意障害,嚥下反射の弱化,惹起遅延,咀嚼と嚥下運動の協調性低下を認めた。先行期障害,高次脳機能障害の意欲低下による食思低下,各種リハ実施困難なため,第65病日にSST介入開始。SSTと連携し,訓練内容・環境調整を行い継続したリハが可能となった。咀嚼から嚥下運動への協調運動パターンの強化を行い,段階的に食事回数と量が増加した。FOIS Lv.6,ハーフ食を3食経口摂取可能となった。食思低下の影響のため,1回/日の胃瘻からの注入併用となり,第195病日に施設退院となった。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 嚥下リハ対象患者は,通常リハカンファレンスが実施されているが,SST介入により、嚥下機能や食に関するより詳細な情報共有が可能となり,アプローチがより明確化となる。また、患者の嚥下機能の効率かつ効果的な改善に繋がると考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)