The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

[摂食更新P-02] 重症心身障害児・者入所施設における摂食嚥下リハビリテーションに関する取り組み

○大房 航1 (1. 東京都立府中療育センター)

【緒言】
 東京都立府中療育センターは, 重症心身障害児・者のための長期入所病床(227床)を保有している障害者医療・福祉施設である。長期入所者の平均年齢は54歳と高齢化が進んでいる(30年前は平均年齢31歳)。高齢化に伴い, 入所要因の現病に加えて新たな全身疾患を発症し, 摂食嚥下機能も著しく低下がみられる。この状況に対応するため, 長期入所者の摂食嚥下機能について検討する“摂食嚥下ワーキンググループ活動”(以下, 摂食WG)を定期的に行っている。今回はこの取り組みについて報告する。
【方法】
 摂食WGは, 摂食嚥下回診と回診結果に基づいた検討会で構成され, 開催された。メンバーは, 歯科医師, 摂食嚥下認定Ns, ST, PT, 管理栄養士をコアメンバーとして, 医師, 薬剤師, 各病棟担当Ns, DH, 調理師で構成された(計20名)。摂食嚥下回診ではコアメンバーおよび主治医が集まり, 多職種で機能評価を行い, 対応について検討した。これらの結果は検討会でその他の摂食WGメンバーへ共有され, 類似症例などについても議論された。このほか, 摂食WGでは, 勉強会や, 院内祭でのブース出展により, 摂食嚥下機能に関する知識の啓発活動を行った。年度末にはアンケート調査を行った。
【結果および考察】
 2023年度の摂食WGでは, 摂食嚥下回診12例, 検討会10回, 嚥下造影検査2例, 勉強会4回, 実施された。摂食嚥下回診では, その結果から姿勢調整と介助方法調整が多く実施された。勉強会では, 摂食嚥下機能および評価法, 口腔健康管理, ポジショニング, 栄養補助食品の試食等の内容を扱った。年度末のアンケートでは, メンバーの90%以上が摂食嚥下に関する意識や知識の向上があったと回答。勉強会については, 口腔健康管理や栄養補助食品の試食が特に役立ったとの回答が多く, 食事介助技術の勉強会を希望する意見も多かった。口腔健康管理や食事介助は体系的に学ぶ機会が少なく, 技術に差が出やすい。これらの改善は今後の課題であると考えられた。院内祭では, 栄養補助食品の解説や嚥下相談などのコーナーを設け, 176名が来場された。職員が摂食嚥下機能に関心を持つきっかけ作りができたと考えられた。今後も活動の改善を図りつつ, 摂食WGを継続し, 入所者の安全で快適な生活を支えたいと考えている。(COI開示:なし)(府中療育センター倫理審査委員会承認:5府療倫(A)10号)