一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

講演情報

摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター » 摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

[摂食更新P-04] 摂食機能療法専門歯科医師としての活動報告ー大阪府歯科医師会での教育活動ー

○長澤 圭子1 (1. 大阪大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部)

【目的】
 超高齢社会を迎え在宅療養者が増加する中,摂食嚥下評価や食に対する支援は地域医療において必要性が高まっている。特に経口による食事摂取は在宅療養者の身体機能の維持・向上およびQOL 向上に資する為,その取り組みは重要である。今回大阪府歯科医師会と連携し経口摂取支援に取り組むことのできる歯科医療従事者を養成する為の研修に摂食機能療法専門歯科医師として関わった活動について報告する。
【方法】
 本研修は,歯科医師会の各支部を代表する歯科医師と会員の診療所に勤務する歯科衛生士を対象として「大阪府の全域で在宅療養者の経口摂取を支援する歯科チームの育成を図る」ことを目的に平成 30 年度から実施されている。経口摂取支援に必要となる高齢者の特性や口腔健康管理をはじめとし地域医療における多職種連携にいたるまで多岐に及ぶ内容を,専門性の高い歯科医師や歯科衛生士が行う6 回の講義および実習で学ぶ内容となっている。その中で「摂食嚥下障害の評価と対応」に基づいた実習を担当した。具体的にはミールラウンドに必須な「診る」力を養うことを目的に身体所見の観察項目や評価法,嚥下スクリーニングテストを,さらに在宅療養者に対して訓練指導を実施できることを目標に間接訓練について研修を行った。
【結果と考察】
 今後増加していく高齢在宅療養者における食に対する支援は多職種連携・協働による摂食嚥下障害へのアプローチが重要であり,地域医療の中で歯科医療従事者の果たす役割は大きいと考える。事後アンケートでは日常診療に食支援の取り組みが加わった,摂食機能療法専門歯科医師との連携を図る事が出来た等の結果を得た。研修に参加した歯科チームが地域の核となり大阪府の全域で経口摂取支援がなされることが大いに期待される。さらに専門医での摂食嚥下障害に対する適切な評価・診断のもと地域で経口摂取支援が行える体制をより充実させていくことが重要である。申請者は,一般歯科診療所での外来・訪問診療に携わり地域の患者や医療介護従事者に対し研修会等の開催や摂食嚥下リハビリテーションの啓蒙・教育活動を実施し,また VF検査等を総合病院と連携し診療を行ってきた経緯がある。今回の研修においては立場を変えながらもその経験を活かし地域歯科医療従事者との連携をはかるとともに教育活動を行うことができたと思われる。
(COI 開示:なし,倫理審査対象外)