[LS4] 高齢期口腔機能対策の動向と展望:オーラルフレイルと口腔機能低下症を中心に
【略歴】
日本大学松戸歯学部卒業 医学博士
平成2年 東京都老人医療センター 歯科口腔外科 研修医
平成3年 国立東京第二病院 口腔外科 研修医
平成4年 東京都老人医療センター 歯科口腔外科主事
平成14年 同 センター医長(東京都老人医療センター・東京都老人総合研究所の組織編成により東京都健康長寿医療センターへ名称変更)
平成21年 東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長
平成28年 同 センター病院 歯科口腔外科 部長
平成31年 同 センター研究所 口腔保健と栄養研究テーマ研究部長(兼任)
令和4年~ 現職
東京都健康長寿医療センター
病院歯科口腔外科部長
研究所自立促進と精神保健研究チーム研究部長
日本老年学会 理事日本サルコぺニア・フレイル学会 理事
日本老年歯科医学会 理事・専門医・指導医・摂食機能療法専門歯科医師
日本口腔検査学会 理事
日本老年医学会 代議員
日本大学 客員教授・東京歯科大学 非常勤講師・昭和大学歯学部 非常勤講師
日本大学松戸歯学部卒業 医学博士
平成2年 東京都老人医療センター 歯科口腔外科 研修医
平成3年 国立東京第二病院 口腔外科 研修医
平成4年 東京都老人医療センター 歯科口腔外科主事
平成14年 同 センター医長(東京都老人医療センター・東京都老人総合研究所の組織編成により東京都健康長寿医療センターへ名称変更)
平成21年 東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長
平成28年 同 センター病院 歯科口腔外科 部長
平成31年 同 センター研究所 口腔保健と栄養研究テーマ研究部長(兼任)
令和4年~ 現職
東京都健康長寿医療センター
病院歯科口腔外科部長
研究所自立促進と精神保健研究チーム研究部長
日本老年学会 理事日本サルコぺニア・フレイル学会 理事
日本老年歯科医学会 理事・専門医・指導医・摂食機能療法専門歯科医師
日本口腔検査学会 理事
日本老年医学会 代議員
日本大学 客員教授・東京歯科大学 非常勤講師・昭和大学歯学部 非常勤講師
【抄録(Abstract)】
オーラルフレイルは日本で考案された概念であり、日本歯科医師会では「8020 運動」に加え、「オーラルフレイル対策」を推進していくことが発信されてる。この発信の契機は、2012 年に飯島勝矢氏(現東京大学高齢者総合研究機構教授)を講師に招き、「【再考】高齢者の『食力』最上流からの虚弱予防で「貯筋」を目指す」というテーマでの日本歯科医師会役員勉強会開催であった。さらに2015 年に、大久保満男日本歯科医師会会長(当時)と辻哲夫氏(東京大学高齢者社会総合研究機構特任教授)の対談において、栄養(食/歯科口腔)からみた虚弱型フローの模式図(オーラルフレイル概念の初期モデル)が『日本歯科医師会雑誌(vol.67 No.10 2015)』に掲載され、この記載がオーラルフレイル概念初出と言えよう。その後、継続的な検討がなされ、2018年には「8020 推進財団30 周年記念シンポジウム」において、オーラルフレイルの周知を目的に、国民向けのリーフレットが配布され、2019年に「歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版」、2020年に「通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル~高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて~2020年版」(公益社団法人日本歯科医師会)が出された。口腔機能低下症は2018年に新たな医療保険病名として保険収載された。高齢期口腔機能の知見を整理する目的で、日本老年歯科医学会は「口腔機能低下症とオーラルフレイルに関するワークショップ」(学会HP報告書公開)が2021年に開催された。その中で、口腔機能低下症検査下位7項目(口腔衛生,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)の結果解釈についての議論、さらには新測定機器導入の提案も行われた。以上を受け「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(日本歯科医学会;2022年)に口腔機能低下症診断に資する新機器が追記された。また、令和6年度歯科診療報酬改定においても口腔機能管理に関する改定が検討されている(2024年2月現在)。この間オーラルフレイルに関しても動きが有った。2022年に「オーラルフレイル」を、国民にイメージしやすい概念にブラッシュアップすることを目的に、日本老年歯科医学会、日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会、によるオーラルフレイルに関する3学会合同ワーキンググループ(WG)が設置された。WGではエビデンスの基づく議論が行われ、新たなオーラルフレイルの評価法OF-5(Oral frailty five-item checklist)が提案され、3学会合同WGによるオーラルフレイルに関するステートメントが2024年4月に出される予定である(2024年2月現在)。ここ約10年で高齢期の口腔機能に関する多岐に渡る動向が有り、世界に向けて発信されている。当日はこれらの動向、さらに展望も含め会場の皆様と情報を共有出来たら幸いである。
オーラルフレイルは日本で考案された概念であり、日本歯科医師会では「8020 運動」に加え、「オーラルフレイル対策」を推進していくことが発信されてる。この発信の契機は、2012 年に飯島勝矢氏(現東京大学高齢者総合研究機構教授)を講師に招き、「【再考】高齢者の『食力』最上流からの虚弱予防で「貯筋」を目指す」というテーマでの日本歯科医師会役員勉強会開催であった。さらに2015 年に、大久保満男日本歯科医師会会長(当時)と辻哲夫氏(東京大学高齢者社会総合研究機構特任教授)の対談において、栄養(食/歯科口腔)からみた虚弱型フローの模式図(オーラルフレイル概念の初期モデル)が『日本歯科医師会雑誌(vol.67 No.10 2015)』に掲載され、この記載がオーラルフレイル概念初出と言えよう。その後、継続的な検討がなされ、2018年には「8020 推進財団30 周年記念シンポジウム」において、オーラルフレイルの周知を目的に、国民向けのリーフレットが配布され、2019年に「歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版」、2020年に「通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル~高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて~2020年版」(公益社団法人日本歯科医師会)が出された。口腔機能低下症は2018年に新たな医療保険病名として保険収載された。高齢期口腔機能の知見を整理する目的で、日本老年歯科医学会は「口腔機能低下症とオーラルフレイルに関するワークショップ」(学会HP報告書公開)が2021年に開催された。その中で、口腔機能低下症検査下位7項目(口腔衛生,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)の結果解釈についての議論、さらには新測定機器導入の提案も行われた。以上を受け「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(日本歯科医学会;2022年)に口腔機能低下症診断に資する新機器が追記された。また、令和6年度歯科診療報酬改定においても口腔機能管理に関する改定が検討されている(2024年2月現在)。この間オーラルフレイルに関しても動きが有った。2022年に「オーラルフレイル」を、国民にイメージしやすい概念にブラッシュアップすることを目的に、日本老年歯科医学会、日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会、によるオーラルフレイルに関する3学会合同ワーキンググループ(WG)が設置された。WGではエビデンスの基づく議論が行われ、新たなオーラルフレイルの評価法OF-5(Oral frailty five-item checklist)が提案され、3学会合同WGによるオーラルフレイルに関するステートメントが2024年4月に出される予定である(2024年2月現在)。ここ約10年で高齢期の口腔機能に関する多岐に渡る動向が有り、世界に向けて発信されている。当日はこれらの動向、さらに展望も含め会場の皆様と情報を共有出来たら幸いである。