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ランチョンセミナー5
咀嚼を測り健康を考える:キシリトール咀嚼チェックガムの活用

Sun. Jun 30, 2024 12:00 PM - 1:00 PM 第2会場 (特別会議場)

座長:小野 高裕(大阪歯科大学 高齢者歯科学講座)

共催:株式会社ロッテ

[LS5-1] 咀嚼と健康―スマホでできる!咀嚼チェックガム用アプリで咀嚼能力評価―

○濵 洋平1 (1. 東京医科歯科大学 高齢者歯科学分野)

【略歴】
2013年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 博士課程修了 博士(歯学)
2014年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 特任助教
2019年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 助教
2024年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 講師(現職)
【抄録(Abstract)】
 超高齢社会を迎えた我が国において、要介護高齢者の増加は解決しなければならない喫緊の課題の1つである。要介護となることで、高齢者個々人やその家族などの生活が制限されQoLが低下することはもちろんのこと、医療や福祉など社会補償費の増大を招く。介護予防を達するためには多領域からのアプローチが必須であるが、近年、歯科において口腔機能の低下を防ぐことで介護予防を図る、と言う考え方が注目を集めている。特に咀嚼、すなわち「噛むこと」は主要な口腔機能の1つであり、健康、介護予防と強い関連があることが報告され、簡便かつ効果的な咀嚼能力評価法が必要とされている。その咀嚼能力を評価する1つのツールとして「キシリトール咀嚼チェックガム」がよく用いられている。
 咀嚼チェックガムは株式会社ロッテと東京医科歯科大学高齢者歯科学分野において共同開発された、咀嚼能力を評価するためのチューインガムである。「誰でも」、「誰にでも」使用可能であることをコンセプトしており、多くのシチュエーションにおいて簡便かつ効果的に利用されている。このチューインガムは、咀嚼前は緑色であるが、咀嚼の進行と共にその色は赤色へと変わっていき、その咀嚼前後の色変わりの程度を判定することで、咀嚼能力を数値化することが可能である。未就学児から健常成人、さらには、低付着性であることより全部床義歯装着者にも適用できることが報告されている。その用途は多岐に辺り、研究、臨床はもちろんのこと、自身や家族、保育施設などにおける健康チェックツールとしての利用や、咀嚼の重要性を啓発するイベントに利用することもできる。
 更には、2023年2月より、スマートフォンなどの端末で画像解析により色変わり度合いが簡便に評価できる「咀嚼チェックアプリ」が公開された。本アプリを使用することで、研究者や医療従事者だけではなく、一般生活者でも咀嚼能力を正確に評価することが可能となった。咀嚼チェックガムの適用範囲が広がり、国内外の研究、特に大きな労力を必要とする数千人対象などの大規模な疫学調査においても、今後多くの活用が期待される。
 本セミナーでは咀嚼能力と健康関連因子との関係について概観した後に、簡便かつ効果的な咀嚼能力評価法として咀嚼チェックガムを紹介する。咀嚼チェックガムに関するこれまでの研究とその応用について、また昨年リリースされたアプリの精度検証結果などを示し,効果的な使用方法について検討を行う。さらに咀嚼チェックガムにより評価された咀嚼能力と健康、介護予防との関連について、包括的に紹介予定である。