[LS6] 求められる「口腔と栄養」の連携が生み出す影響
【略歴】
2006年 管理栄養士取得
2011年 東京農業大学大学院博士課程(食品栄養学)修了博士号取得
職歴
大学院修了後、急性期病院勤務を経て在宅栄養管理を行う。2015年より東京都健康長寿医療センター研究所(現在に至る)
【その他】
2020年 日本栄養士会医療事業部事業推進委員会常任委員
2022年 東京都栄養士会理事
2023年 東京都栄養士会栄養ケア・ステーション部部長
2006年 管理栄養士取得
2011年 東京農業大学大学院博士課程(食品栄養学)修了博士号取得
職歴
大学院修了後、急性期病院勤務を経て在宅栄養管理を行う。2015年より東京都健康長寿医療センター研究所(現在に至る)
【その他】
2020年 日本栄養士会医療事業部事業推進委員会常任委員
2022年 東京都栄養士会理事
2023年 東京都栄養士会栄養ケア・ステーション部部長
【抄録(Abstract)】
我が国は高齢化が急速に進展する中で、健康寿命の延伸と人生 100 年時代を見据えた社会の実現が求められ、国民一人ひとりの健康づくりや疾病の発症予防と重症化予防が今後ますます重要となっている。住み慣れた地域で適切な医療や介護を安心して受けられる社会の構築が必須であるとともに地域包括ケアシステムの一層の推進を図る必要があり、喫緊の課題として生活習慣病の増加、低栄養、フレイル対策等があげられている。これらの課題を解決し、健康づくりや疾病の発症予防・重症化予防対策を推進するにあたっては、栄養状態の維持・向上、適切な栄養・食事管理が必要不可欠となる。
令和元年度には健康寿命延伸プランが策定され、フレイル予防と改善のための栄養ケアとして健康支援型配食の活用などについて示されている。またフレイル予防のための食事に関する研究は、これまでたんぱく質摂取量がフレイルの発現と関連することが多く報告され、高齢期の食事ではたんぱく質を十分量摂取することが重要であり、日本人の食事摂取基準2020年版では高齢期のたんぱく質摂取量の下限値が高く設定された。その食事の摂取に大きく関わるのが歯数をはじめとした口腔機能である。先行研究において75歳の高齢者の縦断研究において歯牙欠損の存在がたんぱく質、カルシウム、ビタミン類、野菜類、肉類の摂取低下につながることや、歯の喪失が進むことで野菜類等の噛みにくい食品を避けデンプン類が豊富な食品を好むようになることが報告されている。また我々の研究においても咀嚼機能とたんぱく質・ビタミン類等の栄養素等摂取量、肉類・緑黄色野菜等の食品群別摂取量が関連し、さらに栄養状態との有意な関連が明らかとなった。これらの結果から、前述の課題解決のためには歯科と栄養の連携の必要性は極めて高いと考えられるが、地域や臨床場面で進んでいるとは言い難い現状にあり、今後シームレスな栄養管理を進めるためにも、歯科と栄養の連携を強固にする必要がある。
本講演では歯科と栄養の連携の視点も含めて、フレイル対策を基軸に栄養管理について基礎から最近の研究についてお示しし、地域における歯科と栄養連携がシームレスなものとなるよう皆様と議論を深めていきたい。
我が国は高齢化が急速に進展する中で、健康寿命の延伸と人生 100 年時代を見据えた社会の実現が求められ、国民一人ひとりの健康づくりや疾病の発症予防と重症化予防が今後ますます重要となっている。住み慣れた地域で適切な医療や介護を安心して受けられる社会の構築が必須であるとともに地域包括ケアシステムの一層の推進を図る必要があり、喫緊の課題として生活習慣病の増加、低栄養、フレイル対策等があげられている。これらの課題を解決し、健康づくりや疾病の発症予防・重症化予防対策を推進するにあたっては、栄養状態の維持・向上、適切な栄養・食事管理が必要不可欠となる。
令和元年度には健康寿命延伸プランが策定され、フレイル予防と改善のための栄養ケアとして健康支援型配食の活用などについて示されている。またフレイル予防のための食事に関する研究は、これまでたんぱく質摂取量がフレイルの発現と関連することが多く報告され、高齢期の食事ではたんぱく質を十分量摂取することが重要であり、日本人の食事摂取基準2020年版では高齢期のたんぱく質摂取量の下限値が高く設定された。その食事の摂取に大きく関わるのが歯数をはじめとした口腔機能である。先行研究において75歳の高齢者の縦断研究において歯牙欠損の存在がたんぱく質、カルシウム、ビタミン類、野菜類、肉類の摂取低下につながることや、歯の喪失が進むことで野菜類等の噛みにくい食品を避けデンプン類が豊富な食品を好むようになることが報告されている。また我々の研究においても咀嚼機能とたんぱく質・ビタミン類等の栄養素等摂取量、肉類・緑黄色野菜等の食品群別摂取量が関連し、さらに栄養状態との有意な関連が明らかとなった。これらの結果から、前述の課題解決のためには歯科と栄養の連携の必要性は極めて高いと考えられるが、地域や臨床場面で進んでいるとは言い難い現状にあり、今後シームレスな栄養管理を進めるためにも、歯科と栄養の連携を強固にする必要がある。
本講演では歯科と栄養の連携の視点も含めて、フレイル対策を基軸に栄養管理について基礎から最近の研究についてお示しし、地域における歯科と栄養連携がシームレスなものとなるよう皆様と議論を深めていきたい。