[O2-1] 超高齢者に対し義歯治療と口腔体操により口腔機能を回復した1症例
【緒言・目的】
口腔機能低下症は、加齢だけではなく疾患や障害など様々な要因によって口腔の機能が複合的に低下している疾患と定義されており、多くの義歯装着高齢者において口腔機能が低下していることが示唆されている.口腔機能が低下すると認知機能の低下やフレイルをはじめ全身的な健康状態の悪化につながることがあり、高齢期に口腔の機能を維持・向上させることは重要であるといえる.今回,超高齢の口腔機能低下症の患者に対して,義歯治療と口腔体操の指導を行うことで良好な結果が得られたので報告する.
【症例および経過】
87歳,女性,無歯顎,要介護度1。義歯不適合および咀嚼困難を主訴に来院した。直近1年間の体重減少は5kgであった。上下顎に全部床義歯を装着しており、咬合の不均衡および開口時の下顎義歯の浮き上がりを認めた. 口腔機能の低下を測る手法として口腔機能精密検査があり,7項目の検査項目3項目以上に機能低下を認めると口腔機能低下症と診断される.本患者に対し実施した口腔機能精密検査では、舌苔付着度,口腔内湿潤度,舌圧,オーラルディアドコキネシス, EAT-10の5項目において基準値を下回っており、口腔機能低下症と診断した..本患者は低体重および低栄養の状態であり、義歯新製により口腔機能の回復を図る方針とした。患者の食事摂取困難の原因は義歯不適合による器質的なものだけではなく,口腔機能の低下により義歯への適応能力や使用能力も低下する機能的なものも大きいと考え,単に義歯を調整・新製するだけではなく口腔機能向上のためのリハビリテーションとして口腔体操の指導を行った.また、新製した義歯は低下した口腔機能に合わせた形態と排列を付与した.新義歯完成後,患者の主訴は改善され、食事形態を気にせず咀嚼できるようになり,下顎義歯の浮き上がりも改善した.初診から1年後に実施した口腔機能精密検査ではすべての検査項目で改善が見られ、口腔機能低下症を脱した.1年で体重が5kg増加し、低体重および低栄養状態は改善された.【考察】
高齢期には,歯の欠損による器質的な原因だけではなく,口腔機能の低下も食事摂取困難の要因となり得るため,高齢者への義歯治療では,口腔機能に配慮することが予後改善につながる可能性示唆された.
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
口腔機能低下症は、加齢だけではなく疾患や障害など様々な要因によって口腔の機能が複合的に低下している疾患と定義されており、多くの義歯装着高齢者において口腔機能が低下していることが示唆されている.口腔機能が低下すると認知機能の低下やフレイルをはじめ全身的な健康状態の悪化につながることがあり、高齢期に口腔の機能を維持・向上させることは重要であるといえる.今回,超高齢の口腔機能低下症の患者に対して,義歯治療と口腔体操の指導を行うことで良好な結果が得られたので報告する.
【症例および経過】
87歳,女性,無歯顎,要介護度1。義歯不適合および咀嚼困難を主訴に来院した。直近1年間の体重減少は5kgであった。上下顎に全部床義歯を装着しており、咬合の不均衡および開口時の下顎義歯の浮き上がりを認めた. 口腔機能の低下を測る手法として口腔機能精密検査があり,7項目の検査項目3項目以上に機能低下を認めると口腔機能低下症と診断される.本患者に対し実施した口腔機能精密検査では、舌苔付着度,口腔内湿潤度,舌圧,オーラルディアドコキネシス, EAT-10の5項目において基準値を下回っており、口腔機能低下症と診断した..本患者は低体重および低栄養の状態であり、義歯新製により口腔機能の回復を図る方針とした。患者の食事摂取困難の原因は義歯不適合による器質的なものだけではなく,口腔機能の低下により義歯への適応能力や使用能力も低下する機能的なものも大きいと考え,単に義歯を調整・新製するだけではなく口腔機能向上のためのリハビリテーションとして口腔体操の指導を行った.また、新製した義歯は低下した口腔機能に合わせた形態と排列を付与した.新義歯完成後,患者の主訴は改善され、食事形態を気にせず咀嚼できるようになり,下顎義歯の浮き上がりも改善した.初診から1年後に実施した口腔機能精密検査ではすべての検査項目で改善が見られ、口腔機能低下症を脱した.1年で体重が5kg増加し、低体重および低栄養状態は改善された.【考察】
高齢期には,歯の欠損による器質的な原因だけではなく,口腔機能の低下も食事摂取困難の要因となり得るため,高齢者への義歯治療では,口腔機能に配慮することが予後改善につながる可能性示唆された.
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)