一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演2
オーラルフレイル・口腔機能低下症

2024年6月29日(土) 10:20 〜 11:40 第4会場 (107+108会議室)

座長:奥野 健太郎(大阪歯科大学高齢者歯科学講座)、谷口 裕重(朝日大学歯学部摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O2-3] 口腔機能低下症患者に対する3か月間の口腔衛生管理とその後3か月の口腔機能管理の効果

○堀 綾夏1、太田 緑1、堀部 耕広1、竜 正大1、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)

【目的】
 本研究の目的は,口腔機能低下症と診断された65歳以上の外来患者に対し3か月の口腔機能管理を行った場合と,3か月の口腔衛生管理後に3か月の口腔機能管理を実施した場合の効果の違いを明らかにすることとした。
【方法】
 東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能低下症と診断された65歳以上の患者を対象に,口腔衛生管理(OHM)群と口腔機能管理(OFM)群に交互に割付した。OHM群は3か月間の口腔衛生管理後に3か月間の口腔機能管理を実施した。OFM群は3か月間の口腔機能管理を実施した。診断時,3か月後,6か月後(OHM群のみ)に口腔機能精密検査と栄養状態等を評価し,精密検査で低下に該当した項目数(NoS)を算出した。口腔衛生管理では清掃指導,口腔機能管理では栄養指導と低下した機能に対する訓練を指導した。OHM群とOFM群の診断時と口腔機能管理後をMann-WhitneyのU検定で,OHM群の診断時,口腔衛生管理後および口腔機能管理後をFriedman検定で比較した(α=0.05)。
【結果と考察】
 本研究は,準ランダム化割付試験での倫理的配慮として設定された対象(OHM)群に対するクロスオーバー実施後の事後検証であり,OFM群への口腔機能管理の効果は報告済みである。OHM群は最終的に25名(平均年齢80±7歳),OFM群は40名(同78±7歳)が解析対象となった。OHM群とOFM群の比較では全項目で有意差がなかった。OHM群の群内比較では,NoS(中央値)が診断時4.0±0.8,口腔衛生管理後3.0±1.3となり有意差を認めた。また,OHM群の診断時と口腔機能管理後との間では,複数の口腔機能とNoSに有意差を認めた。今回,OHM群とOFM群の口腔機能管理後の比較で全項目に差がなかったことから,OHM群でもその後の介入によりOFM群と同程度まで機能が向上したことが示唆された。また,OHM群の診断時と口腔衛生管理後間で各機能の検査結果に有意差がなかったため,3か月間の口腔機能への非介入期間で口腔機能が維持したことが示された。本研究より,口腔機能管理のみと口腔衛生管理後に口腔機能管理を実施した場合の効果に差はないことが明らかとなり、本研究における倫理的配慮に問題ないことが確認された。
(JSPS科研費JP17K17382)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認番号1094)