一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演4
加齢変化・基礎研究

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 第4会場 (107+108会議室)

座長:濵 洋平(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)、田中 信和(大阪大学歯学部顎口腔機能治療部)

[O4-1] 地域高齢住民における歯数とサルコペニア発症との関連:久山町研究

○友岡 祥子1,2、柏﨑 晴彦1、二宮 利治2 (1. 九州大学病院高齢者歯科・全身管理歯科、2. 九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)

【目的】
 サルコペニアは加齢に伴う筋量及び筋力の低下で特徴付けられる症候群であり、近年、口腔状態・機能は、サルコペニアを含む全身の運動機能低下と関連していることが報告されている。本研究では地域高齢住民を対象に、歯数とサルコペニア発症との関連を検討した。
【方法】
 2012年に福岡県久山町の高齢者調査を受診し、研究同意の得られた65-84歳のサルコペニアを有しない住民のうち、2017年の調査でサルコペニア有無を判定できた753人を解析対象者とした。歯数は3分位を用いて3群に分類した(T1群:0-19本、T2群:20-24本、T3群:25-32本)。サルコペニアの診断にはAWGS2019の診断基準を用いた。5年間のサルコペニア発症のオッズ比はロジスティック回帰モデルを用いて算出した。
【結果と考察】
 2017年の調査時に61例のサルコペニア発症を認めた。歯数レベル別にみたサルコペニアの5年間の累積発症率(無調整)は、T1群11.6%、T2群 8.2%、T3群 5.1%であり、歯数の減少に伴い有意に上昇した(傾向性p<0.01)。またサルコペニア発症のオッズ比(多変量調整後)は、T3群に比し、T2群 1.71 (95%信頼区間 0.78-3.77) 、T1群 2.23 (1.05-4.75) であった。以上のことから、地域高齢住民において、歯数の減少はサルコペニア発症の有意な危険因子であることが示唆された。
(COI開示:なし)
(九州大学 倫理審査委員会承認番号 23061-02 2022-24)