一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演4
加齢変化・基礎研究

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 第4会場 (107+108会議室)

座長:濵 洋平(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)、田中 信和(大阪大学歯学部顎口腔機能治療部)

[O4-6] Murataムーカスによる口腔粘膜湿潤度における口腔乾燥症病態評価の可能性

○岩渕 博史1,2、伊藤 加代子3、戸谷 収二4 (1. 国際医療福祉大学病院歯科口腔外科、2. HNO栃木医療センター歯科口腔外科、3. 新潟大学医歯学総合病院口腔リハビリテーション科、4. 日本歯科大学新潟病院口腔外科)

【目的】
 口腔乾燥症の診断には唾液量の測定が重要であるが、寝たきり患者や認知症患者では指示に従うことが困難であるため、唾液量の測定は困難である。そのため、患者の協力の有無に関わらず唾液量の評価が行える新たな測定方法の開発が望まれている。そこで本研究では、口腔湿潤計Murataムーカスによる口腔粘膜湿潤度が口腔乾燥症の様々な病態とどのような関係にあるか、口腔乾燥症の診断に必要な唾液量測定の代用となるかについて検討した。
【方法】
 協力施設にて加療中の男女で 、10分間ガムテスト値は概ね13.0mL以下、安静時唾液量は概ね2.0mL以下の患者とした。評価は口腔粘膜湿潤度と安静時唾液量、刺激時唾液量との相関、自他覚所見との相関、口腔内のカンジダおよび黄色ブドウ球菌のCFUとの相関、唾液中タンパク濃度との相関とした。
【結果と考察】
 口腔粘膜湿潤度と10分間ガムテスト値では弱い相関(r=0.395)がみられたが安静時唾液量との相関はみられなかった。自覚症状との関係では、口が渇く(r=0.272)、夜起きて水を飲む(r=0.291)、食べ物が食べにくい(r=0.378)に弱い相関がみられた。また、唾液中タンパク濃度との関係では弱い相関(r=-0.322)、C.albicansのCFUとは相関(r=-0.604)がみられた。Murataムーカスによる口腔粘膜湿潤度と10分間ガムテストおよび自覚症状の相関係数は、第4世代口腔水分計ムーカスによる結果と同程度であったが、Murataムーカスと自覚症状との相関係数は10分間ガムテストと自覚症状との結果と同等であり、唾液量測定の代替えとなる可能性が示唆された。また、口腔粘膜湿潤度と唾液中タンパク濃度に相関がみられたことから口腔粘膜湿潤度に唾液中タンパク濃度が影響を及ぼしている可能が示唆された。C.albicansのCFUとも相関が示されたことより、口腔粘膜湿潤度を測定することにより口腔カンジダ症発症リスクを予測できる可能性が示唆された。
謝辞:細菌検査、唾液中タンパク濃度の測定を行ってくださった日本大学松戸歯学部泉福英信教授、統計解析にご助言をいただいた東京大学大学院医学系研究科今井博久教授、宮崎県立看護大学中尾裕之教授に深謝します。
( COI 開示:株式会社ライフ)
(NHO栃木医療センター倫理審査委員会承認番号:倫2021-09)