[O5-3] 高齢患者に対する歯科治療時のプロポフォールを用いた静脈内鎮静法の検討
【目的】
静脈内鎮静法(以下IVS)は,様々な疾患を有し予備力の低下した高齢者に対して,円滑,安全な歯科治療を行うために有用である.これら高齢患者に対してより適切にIVSを施行するためには,術中のみならず術後管理にも配慮が必要となる.当診療所では,使用薬剤として以前は主にミダゾラムを用いていたが,現在は覚醒が速く適切な術後管理につながることを期待しプロポフォールを主に使用している.そこで今回,使用薬剤による周術期管理に違いがあるかを確認するため,入院高齢患者に対するプロポフォールを用いたIVS症例について,その周術期管理についてレトロスペクティブに検討したので報告する.
【方法】
2020年1月から2022年12月までの3年間に当診療所入院下に行った65歳以上の高齢患者に対するプロポフォールを用いたIVS症例に対し,診療録および麻酔記録から患者背景,治療内容,周術期合併症などについて調査,2013年1月から2015年12月に施行したミダゾラム使用症例と周術期合併症等の比較検討を行った.
【結果と考察】
該当期間のIVS症例は総計3,925例で,そのうち対象症例は832例(男性377例,女性455例,平均年齢80.0±24.8歳)であった.ほぼ全例で全身管理上考慮すべき全身疾患を有しており,治療は保存,補綴,外科と多岐にわたっていた.プロポフォールの投与は全例TCIポンプで行われ,術中の平均予測効果部位濃度は0.98±0.29μg/ml,平均麻酔時間は58.9±28.5分であった.術後合併症では過去に報告した1)ミダゾラム単独使用時に認められた覚醒遅延,術後食事時のむせ等は認められなかった.高齢者は予備力が低下し,かつ全身疾患を有していることも多く,ストレス軽減を目的としたIVSは非常に有効であるが,嚥下機能が低下する点から周術期の誤嚥に細心の注意を払わなくてはいけない.特に術後の回復期では,ミダゾラムに比べ覚醒の速いプロポフォールは高齢者の鎮静法に有用と思われた.
【文献】1)今渡隆成,他:老年歯学,15(3),254-259,2001
(COI開示:なし)
(医療法人仁友会 倫理審査委員会承認番号24-1)
静脈内鎮静法(以下IVS)は,様々な疾患を有し予備力の低下した高齢者に対して,円滑,安全な歯科治療を行うために有用である.これら高齢患者に対してより適切にIVSを施行するためには,術中のみならず術後管理にも配慮が必要となる.当診療所では,使用薬剤として以前は主にミダゾラムを用いていたが,現在は覚醒が速く適切な術後管理につながることを期待しプロポフォールを主に使用している.そこで今回,使用薬剤による周術期管理に違いがあるかを確認するため,入院高齢患者に対するプロポフォールを用いたIVS症例について,その周術期管理についてレトロスペクティブに検討したので報告する.
【方法】
2020年1月から2022年12月までの3年間に当診療所入院下に行った65歳以上の高齢患者に対するプロポフォールを用いたIVS症例に対し,診療録および麻酔記録から患者背景,治療内容,周術期合併症などについて調査,2013年1月から2015年12月に施行したミダゾラム使用症例と周術期合併症等の比較検討を行った.
【結果と考察】
該当期間のIVS症例は総計3,925例で,そのうち対象症例は832例(男性377例,女性455例,平均年齢80.0±24.8歳)であった.ほぼ全例で全身管理上考慮すべき全身疾患を有しており,治療は保存,補綴,外科と多岐にわたっていた.プロポフォールの投与は全例TCIポンプで行われ,術中の平均予測効果部位濃度は0.98±0.29μg/ml,平均麻酔時間は58.9±28.5分であった.術後合併症では過去に報告した1)ミダゾラム単独使用時に認められた覚醒遅延,術後食事時のむせ等は認められなかった.高齢者は予備力が低下し,かつ全身疾患を有していることも多く,ストレス軽減を目的としたIVSは非常に有効であるが,嚥下機能が低下する点から周術期の誤嚥に細心の注意を払わなくてはいけない.特に術後の回復期では,ミダゾラムに比べ覚醒の速いプロポフォールは高齢者の鎮静法に有用と思われた.
【文献】1)今渡隆成,他:老年歯学,15(3),254-259,2001
(COI開示:なし)
(医療法人仁友会 倫理審査委員会承認番号24-1)