The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演) » [一般口演5] 全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

一般口演5
全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

Sun. Jun 30, 2024 9:00 AM - 10:30 AM 第4会場 (107+108会議室)

座長:酒井 克彦(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)、中川 量晴(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O5-5] 回復期病院における口腔機能管理の必要性と全身的特徴の関連

○戸田山 直輝1、原 隆蔵2、田畑 友寛1、向井 友子2、畑中 幸子1、染谷 操佳1、桑澤 実希2,3、古屋 純一1 (1. 昭和大学大学院 口腔機能管理学分野、2. 昭和大学歯学部 口腔機能管理学部門、3. 昭和大学藤が丘病院 病院歯科)

【目的】
 高齢者に多い脳卒中や骨折では、急性期での治療後に回復期病院へ転院することが多い。回復期では、在宅での生活を目指して集中的なリハビリテーションを行うが、高齢者は口腔機能が低下しており、栄養状態が悪化しやすい。回復期は急性期と比較して入院期間も長期であり、全身状態も安定しているため、歯科治療を行う好機である。しかし、回復期病院における歯科の人的資源は限定的であり、入院中に必要な患者に口腔健康管理を集中させることが必要である。そこで本研究では、回復期病院における縦断調査から、入院中に歯科治療が必要だった患者の入院時の全身状態と口腔機能の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 2021年8月から2022年8月までに某回復期病院リハビリテーション科へ入院した全患者370名を対象とし、最終的に312名を後方視的に調査した。入院中に、歯科治療の必要がなかった群(治療なし群137名)、歯科治療を受けた群(治療あり群175名)に分け、入院時の主疾患、GCS(Glasgow Coma Scale)、FIM(Functional Independence Measurement)、MNA-SF (Mini nutritional assessment -Short Form)、FOIS(Functional Oral Intake Scale)、現在歯数、OHAT(Oral Health assessment tool)合計点を比較した。また、入院中に行った歯科治療の内容も調査した。
【結果と考察】
 入院中の歯科治療の有無(0:治療なし群、1:治療あり群)を目的変数としたロジスティク回帰分析では、入院時における脳卒中の罹患、少ない現在歯数、OHAT合計点の悪化、低いFOIS、低いFIM運動が有意に関連していた。歯科治療の内容は、口腔衛生管理と義歯治療が多く認められた。脳卒中は口腔健康状態が悪化しやすく、食形態や全身機能の低下の改善につながりうる、口腔衛生管理や義歯治療などの口腔機能管理のニーズが高い可能性が示唆された。以上より、回復期では入院時に総合的な口腔健康状態が悪化し、食形態と運動機能が低下している脳卒中患者に対して、集中的かつ包括的な口腔健康管理が必要である可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:承認番号:22-002-B)