[O5-5] 回復期病院における口腔機能管理の必要性と全身的特徴の関連
【目的】
高齢者に多い脳卒中や骨折では、急性期での治療後に回復期病院へ転院することが多い。回復期では、在宅での生活を目指して集中的なリハビリテーションを行うが、高齢者は口腔機能が低下しており、栄養状態が悪化しやすい。回復期は急性期と比較して入院期間も長期であり、全身状態も安定しているため、歯科治療を行う好機である。しかし、回復期病院における歯科の人的資源は限定的であり、入院中に必要な患者に口腔健康管理を集中させることが必要である。そこで本研究では、回復期病院における縦断調査から、入院中に歯科治療が必要だった患者の入院時の全身状態と口腔機能の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2021年8月から2022年8月までに某回復期病院リハビリテーション科へ入院した全患者370名を対象とし、最終的に312名を後方視的に調査した。入院中に、歯科治療の必要がなかった群(治療なし群137名)、歯科治療を受けた群(治療あり群175名)に分け、入院時の主疾患、GCS(Glasgow Coma Scale)、FIM(Functional Independence Measurement)、MNA-SF (Mini nutritional assessment -Short Form)、FOIS(Functional Oral Intake Scale)、現在歯数、OHAT(Oral Health assessment tool)合計点を比較した。また、入院中に行った歯科治療の内容も調査した。
【結果と考察】
入院中の歯科治療の有無(0:治療なし群、1:治療あり群)を目的変数としたロジスティク回帰分析では、入院時における脳卒中の罹患、少ない現在歯数、OHAT合計点の悪化、低いFOIS、低いFIM運動が有意に関連していた。歯科治療の内容は、口腔衛生管理と義歯治療が多く認められた。脳卒中は口腔健康状態が悪化しやすく、食形態や全身機能の低下の改善につながりうる、口腔衛生管理や義歯治療などの口腔機能管理のニーズが高い可能性が示唆された。以上より、回復期では入院時に総合的な口腔健康状態が悪化し、食形態と運動機能が低下している脳卒中患者に対して、集中的かつ包括的な口腔健康管理が必要である可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:承認番号:22-002-B)
高齢者に多い脳卒中や骨折では、急性期での治療後に回復期病院へ転院することが多い。回復期では、在宅での生活を目指して集中的なリハビリテーションを行うが、高齢者は口腔機能が低下しており、栄養状態が悪化しやすい。回復期は急性期と比較して入院期間も長期であり、全身状態も安定しているため、歯科治療を行う好機である。しかし、回復期病院における歯科の人的資源は限定的であり、入院中に必要な患者に口腔健康管理を集中させることが必要である。そこで本研究では、回復期病院における縦断調査から、入院中に歯科治療が必要だった患者の入院時の全身状態と口腔機能の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2021年8月から2022年8月までに某回復期病院リハビリテーション科へ入院した全患者370名を対象とし、最終的に312名を後方視的に調査した。入院中に、歯科治療の必要がなかった群(治療なし群137名)、歯科治療を受けた群(治療あり群175名)に分け、入院時の主疾患、GCS(Glasgow Coma Scale)、FIM(Functional Independence Measurement)、MNA-SF (Mini nutritional assessment -Short Form)、FOIS(Functional Oral Intake Scale)、現在歯数、OHAT(Oral Health assessment tool)合計点を比較した。また、入院中に行った歯科治療の内容も調査した。
【結果と考察】
入院中の歯科治療の有無(0:治療なし群、1:治療あり群)を目的変数としたロジスティク回帰分析では、入院時における脳卒中の罹患、少ない現在歯数、OHAT合計点の悪化、低いFOIS、低いFIM運動が有意に関連していた。歯科治療の内容は、口腔衛生管理と義歯治療が多く認められた。脳卒中は口腔健康状態が悪化しやすく、食形態や全身機能の低下の改善につながりうる、口腔衛生管理や義歯治療などの口腔機能管理のニーズが高い可能性が示唆された。以上より、回復期では入院時に総合的な口腔健康状態が悪化し、食形態と運動機能が低下している脳卒中患者に対して、集中的かつ包括的な口腔健康管理が必要である可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:承認番号:22-002-B)