The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演) » [一般口演5] 全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

一般口演5
全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

Sun. Jun 30, 2024 9:00 AM - 10:30 AM 第4会場 (107+108会議室)

座長:酒井 克彦(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)、中川 量晴(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O5-8] 2011年1月~2023年12月の間に当院が歯科訪問診療を施行した9,164例の概要

○斎藤 徹1,2、スクリボ 理絵1、髙橋 耕一3、山崎 裕2、栂安 秀樹1 (1. 医療法人社団秀和会 つがやす歯科医院、2. 北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野高齢者歯科学教室、3. みなよし歯科)

【目的】 
 わが国では人口の高齢化にともない要介護高齢者が増加している。当院では要介護高齢者や有病者に対して歯科訪問診療を積極的に行なっており,本発表ではその概要を報告する。
【方法】
 対象は,2011年1月~2023年12月の間に当院が歯科訪問診療を施行した新患症例9,164例(再新患を除く)で,男性3,562例,女性5,602例で平均年齢は82.0歳(0~107歳)であった。症例のデータ収集にはレセプトカルテシステムOpt.one(オプテック)を用いた。
【結果と考察】
 新患患者数は2011年は552例であったが以後漸増し,2018年791例,2019年830例であった。COVID-19の影響で新患患者数は2020年759例,2021年591例,2022年555例と減少したが,2023年は934例と増加している。年齢分布は80歳代が最も多く3,759例(41.0%)であり,次いで90歳代2,545例(27.8%),70歳代1,565例(17.1%)であった。訪問診療先の施設は介護老人福祉施設(特養)が最も多く2,264例(24.7%)で,次いで病院2,182例(23.8%),介護老人保健施設(老健)1,489例(16.2%)であった。居宅への訪問診療症例は874例(9.5%)であった。基礎疾患の内訳は認知症が最も多く4,398例(48.0%)であり,次いで脳梗塞2,022例(22.1%),肺炎1,636例(17.9%),悪性腫瘍669例(7.3%)であった(基礎疾患の重複症例あり)。歯科治療の内訳としては歯周治療が最も多く5,474例(59.7%)で,次いで義歯調整・修理(義歯新製を除く)2,991例(32.6%),義歯新製2,356例(25.7%),抜歯2,028例(22.1%)であった(歯科治療の内容の重複症例あり)。
 歯科訪問診療は歯科医療機関での診療と比べて様々な制約があり,必ずしも理想的な歯科医療を提供できるわけではない。しかし,歯科医療機関への通院が困難な要介護高齢者などでは歯科訪問診療は歯科医療サービスを受けられる最後の砦であり,今後さらに充実させる必要がある。
(COI開示:なし)
(北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会承認番号:2021第3号)