一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演5
全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

2024年6月30日(日) 09:00 〜 10:30 第4会場 (107+108会議室)

座長:酒井 克彦(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)、中川 量晴(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O5-9] 情報通信機器を用いた遠隔診療による口腔機能低下症患者への口腔機能管理の実証と課題検討

○上田 貴之1、太田 緑1、竜 正大1、吉見 佳那子2、中川 量晴2、戸原 玄2 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
 医療DX の推進において,歯科の遠隔診療への期待は大きい。これまで我々は,D to Pによる遠隔診療での口腔機能管理の検討を行ってきた。今回,情報通信機器を用いた遠隔診療による口腔機能低下症患者への口腔機能管理の実証を行い,課題検討を行うことを目的に本研究を行った。
【方法】
 2023年11月から12月に口腔機能低下症と診断された高齢者を対象とした。遠隔診療は,2023年11月から2024年1月とした。検査および診断は外来で実施し,約2週間隔で遠隔診療にて口腔機能管理を実施した。参加者は,歯科医師から貸与されたiPhone 8(Apple)とLINE(LINEヤフー)のビデオ通話機能を利用して,自宅で診療を受けた。再評価は外来で実施した。終了後,参加者および歯科医師にアンケートを実施した。
【結果と考察】
 6名に依頼し,女性5名(平均年齢75±1歳)が参加した。辞退者は,スマートフォンを所有せず操作への不安を理由とした。事前調査で高齢者での利用頻度が高いLINEを本研究で用いた。参加者はLINEの利用経験はあったが,ビデオ通話の利用経験は少なかった。参加者は自宅で1~3回の遠隔診療に参加し,4名が再評価まで完了した。実施前後で,低下項目数は3.3 ±0.4が2.3±0.8となり,舌圧は27.5±5.5 kPaが35.9 ±4.7kPaとなった。参加者へのアンケートでは,事前に操作への不安があったとの回答もあったが,全員が実施に問題はなかったとし,今後は対面とオンラインの両方を利用したいと回答した。また,訓練を行ってみての疑問を聞くことができたこと等の利点が挙げられた。歯科医師へのアンケートでは,目視しながら口腔機能の確認や指導ができる点が利点として挙げられた。一方,カメラの向きにより画像の見え方の影響があるため注意が必要であるとの意見が多かった。以上より,情報通信機器を用いた遠隔診療による口腔機能低下症患者への口腔機能管理は有効であるが,機器の操作や設置方法に注意を要することが明らかとなった。
(COI開示:なし)
(倫理審査:一般財団法人医療情報システム開発センター医学研究倫理審査委員会承認5-2,東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認D2023-042,東京歯科大学倫理審査委員会承認986)
(厚生労働省「ICTを活用した医科歯科連携等の検証事業等一式」の一部として実施した)