The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演) » [一般口演6] 症例・施設1

一般口演6
症例・施設1

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM 第4会場 (107+108会議室)

座長:潮田 高志(東京都立多摩北部医療センター歯科口腔外科)、高橋 賢晃(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)

[O6-1] 高齢者の耳下腺管内に発症した唾石症の1例

○宮里 優梨亜1、井手 健太郎1、長浜 妙子1、村橋 信1、小山 宏樹1、中村 博幸1 (1. 琉球大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能再建学講座)

本症例は患者本人より症状経過,処置内容などの診療情報を,個人情報を保護して患者が特定されない形にして,「症例報告・臨床報告」に活用させていただくことを説明し同意を得た。

【緒言・目的】
唾石症は,唾液腺疾患の頻度の高い疾患であるが,多くは顎下腺に発生するため,耳下腺に発症する唾石症は6~19%と比較的稀である.本症は,20~40歳代に多く認められ,65歳以上の高齢者には稀である.今回われわれは高齢者女性の耳下腺管内に発生した唾石症,唾液腺疾患の一例を経験し外科的療法にて治癒し得たので, 文献的考察を加えて報告する。
【症例および経過】
患者: 69歳, 女性, 既往歴:高脂血症,緑内障.アレルギー:特記事項なし。現病歴: 2023年1月近在歯科医院を受診した際に,左側耳下腺開口部に白色の腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介初診となった。現症:左側耳下腺開口部に直径7mmの白色の腫瘤を認めた。左側耳下腺の疼痛や腫脹は認められなかった。また, 耳下腺開口部からのブジーの挿入は困難であったが,左側耳下腺圧迫で耳下腺開口部から唾液の流出は認められなかった。画像検査:CBCT画像より,左側耳下腺管内に直径11mmの楕円形の不透過像が認められた。処置及び経過:2023年2月局所麻酔下にて左側耳下腺唾石摘出術を施行した。病理学的検査より, 摘出物は無機質の石灰化物を認め,唾石症と確定診断を得た。術後に耳下腺開口部からの唾液の流出を認め,再発兆候は認められず,経過は良好である。
なお,本報告の発表について患者本人から文章による同意を得ている。
【考察】
唾石症の多くは顎下腺に発生し, 本邦では耳下腺, 舌下腺, 小唾液腺の唾石は少数である。耳下腺唾石症の臨床症状は摂取時の耳下腺の腫脹, 疼痛が主である。炎症が持続すると, ステノン管開口部からの排膿や頬部膿瘍を形成することもある。本症例では, 摘出した唾石の長径が5mm以上にも関わらず, 炎症兆候は認められなかったため, 局所麻酔下にて口腔内切開にて摘出を行った。術後に耳下腺開口部より唾液の流出を認め, 再発兆候も認めず, 経過は良好である。今回われわれは高齢者の耳下腺管内に発症した唾石症の一例を経験したので報告した。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)