The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

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一般口演7
症例・施設2

Sun. Jun 30, 2024 1:10 PM - 2:10 PM 第4会場 (107+108会議室)

座長:寺中 智(足利赤十字病院リハビリテーション科)、山内 智博(がん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科)

[O7-3] 奥羽大学歯学部附属病院における高齢者施設への歯科訪問診療について

○渡部 議之1、渡邉 聡2、鈴木 海路1、北條 健太郎1、鈴木 史彦1 (1. 奥羽大学歯科補綴学講座 高齢者歯科学、2. 奥羽大学歯学部附属病院 地域医療支援歯科)

【目的】
 奥羽大学歯学附属病院が行っている特別養護老人ホーム入所者への歯科訪問診療の現状について調査したので報告する。
【方法】
 本院が歯科訪問診療を実施している特別養護老人ホーム入所者262名を対象とした。調査項目は年齢、性別、要介護度、および治療内容とした。年齢、性別、および治療内容は診療録からデータを収集した。要介護度は患者が入所している施設の記録から収集した。すべてのデータは後ろ向きに収集した。
【結果と考察】
 調査対象者の平均年齢は85.2±8.4歳であった。男性は50名(19.1%)で、女性は212名(80.9%)であった。要介護度は1度が2名(0.8%)、2度が1名(0.4%)、3度が52名(19.8%)、4度が154名(58.8%)、5度が53名(20.2%)であり、中央値は4度であった。治療内容は修復治療が31名(11.8%)、歯周治療が20名(7.6%)、義歯新製が14名(5.3%)、義歯修理が54名(20.6%)、義歯調整が98名(37.4%)、抜歯が25名(9.5%)、口腔衛生管理が127名(48.5%)であった。要介護度4以上の207名に限局した場合、口腔衛生管理を実施したのは127名(61.4%)であった。本院で高齢者施設へ歯科訪問診療を実施する手順として、新規入所者に対しては無料歯科健診を実施し、歯科治療の必要性が認められる場合には、施設スタッフを通じて患者家族へ治療の同意が得られてから開始している。治療内容で最も多かったのは口腔衛生管理であり、要介護度が高いとその割合は大きくなっていた。しかし、週に1回の管理のみでは口腔内環境の改善は難しいことから、施設スタッフへの口腔ケア方法の指導や連携が重要であると考えられる。また、義歯に関しては新製よりも修理や調整が多かった。考えられる理由としては、義歯新製を受け入れてもらいにくいこと、認知症の進行により、義歯の新製は困難であると判断としたこと等が挙げられる。今後は被験者数を増やし、さらに詳細な分析を実施していく予定である。

(COI開示:なし)
(奥羽大学倫理審査委員会承認番号 326)