The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

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一般口演7
症例・施設2

Sun. Jun 30, 2024 1:10 PM - 2:10 PM 第4会場 (107+108会議室)

座長:寺中 智(足利赤十字病院リハビリテーション科)、山内 智博(がん・感染症センター都立駒込病院歯科口腔外科)

[O7-4] 特別養護老人ホーム入所者のミールラウンド実施により栄養状態を回復した症例

○亀井 智子1、冨田 健嗣1 (1. 冨田歯科)

【緒言・目的】
2015年介護保険施設における経口維持加算の改訂にともない、施設の理解を得てミールラウンド(食事観察)を開始した。今回、体重減少と発熱を繰り返し、コロナ感染後さらに食欲減退、体重減少がみられた特別養護老人ホーム入所者に対して、継続的にミールラウンドを実施して、BMI増加、栄養状態を回復した1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
99歳、女性。2020年10月入所。脳梗塞、誤嚥性肺炎、認知症、鉄欠乏性貧血の既往あり。口腔内は現在歯20本、上下顎部分床義歯装着。管理栄養士および看護師より、体重減少が続いており食事中のムセが頻回にあるとの報告を受け、2021年10月より月1回の頻度でミールラウンドを開始した。体重減少に対しては、管理栄養士により経口補助食品を追加した。歯科医師、歯科衛生士による嚥下機能評価により、舌圧低下、嚥下反射遅延、咽頭収縮不良が観察され、食形態を日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021コード4から2-2へ変更。歯科衛生士により口腔健康管理介入を継続的に行った。また、歯磨きがセルフケアだったので、介護職員による口腔衛生管理介入を行った。2023年3月コロナ感染され体重減少、食欲減退、意欲減退が認められた。管理栄養士によりBMI改善で一旦中止していた経口補助食品を再開、介護職員による口腔衛生管理の徹底を行った。その後体重増加も認められ、2023年11月まで発熱も認められていない。ミールラウンド開始時のBMIは16.0㎏/m2から2023年11月には19.2㎏/m2に、アルブミン値は3.5g/dLから3.7g/dLに上昇した。
なお、本報告の発表について入所者本人およびご家族から文書で同意を得ている。
【考察】
本症例ではミールラウンドで継続的に介入したことにより、入所者の全身状態変化を多職種で把握し、それぞれの専門分野の役割を担うことにより、BMI、血清アルブミン値の増加もあり栄養状態、全身状態向上につながったと考えられる。介護施設において、摂食嚥下障害の高齢者への食支援として、多職種におけるミールラウンドが重要であると考えた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)