[O8-5] 歯科訪問診療におけるエアロゾル発生状況に関する基礎的検討(第2報)
【目的】
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,易感染性患者を対象とする歯科訪問診療では徹底した感染対策が求められる。しかし,歯科訪問診療時にどの程度の飛沫が飛散しているかを検討した研究は未だ少ない。
本研究では,ファーラー位での歯科処置時の飛沫飛散状況がポータブルユニット付属口腔内バキューム使用の有無で変化するかを検討した。
【方法】
学生実習用ファントムに顎模型を装着し,デンタルユニットにてファーラー位45度となるように固定した。処置部位は,全て上顎左側中切歯とした。実施処置は,歯ブラシによる歯面清掃,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水・注水),増速用マイクロモーターによる切削とした。各処置は,吸引条件を変更して各処置を行った。微粒子可視システムにより撮影された画像から,各吸引条件において測定エリアに占める飛沫の割合をImageJを用いて算出し,その対数値(log飛沫エリア%)により統計解析を行った。
【結果と考察】
今回検討を行った全ての処置で,吸引を行わない場合,無処置時と比較して有意な飛沫増加が確認された。log飛沫エリア%は,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水),マイクロモーターによる歯面清掃(注水),増速用マイクロモーターによる切削,歯ブラシによる歯面清掃の順に多かった。吸引によって,log飛沫エリア%が減じたのは,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水・注水),増速用マイクロモーターによる切削であった。
目的変数をlog飛沫エリア%にした重回帰分析の結果,各処置は重回帰式における正の因子となり,負の因子は,ポータブルユニット付属口腔内バキューム吸引とマイクロモーターによる歯面清掃時の注水であった。
今回検討した手技のうち,歯科訪問診療において日常的に頻繁に実施される処置である歯ブラシによる歯面清掃は,吸引よる飛沫飛散量の制御が難しい処置であることが示唆された。
歯科医療従事者の感染防護のためには,非注水や非切削処置であったとしても術者の抱くイメージと実際の飛沫飛散量には差がある可能性があり,どの処置においても個人防護具の適正使用と適正な換気に努める必要があると考えられた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,易感染性患者を対象とする歯科訪問診療では徹底した感染対策が求められる。しかし,歯科訪問診療時にどの程度の飛沫が飛散しているかを検討した研究は未だ少ない。
本研究では,ファーラー位での歯科処置時の飛沫飛散状況がポータブルユニット付属口腔内バキューム使用の有無で変化するかを検討した。
【方法】
学生実習用ファントムに顎模型を装着し,デンタルユニットにてファーラー位45度となるように固定した。処置部位は,全て上顎左側中切歯とした。実施処置は,歯ブラシによる歯面清掃,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水・注水),増速用マイクロモーターによる切削とした。各処置は,吸引条件を変更して各処置を行った。微粒子可視システムにより撮影された画像から,各吸引条件において測定エリアに占める飛沫の割合をImageJを用いて算出し,その対数値(log飛沫エリア%)により統計解析を行った。
【結果と考察】
今回検討を行った全ての処置で,吸引を行わない場合,無処置時と比較して有意な飛沫増加が確認された。log飛沫エリア%は,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水),マイクロモーターによる歯面清掃(注水),増速用マイクロモーターによる切削,歯ブラシによる歯面清掃の順に多かった。吸引によって,log飛沫エリア%が減じたのは,マイクロモーターによる歯面清掃(非注水・注水),増速用マイクロモーターによる切削であった。
目的変数をlog飛沫エリア%にした重回帰分析の結果,各処置は重回帰式における正の因子となり,負の因子は,ポータブルユニット付属口腔内バキューム吸引とマイクロモーターによる歯面清掃時の注水であった。
今回検討した手技のうち,歯科訪問診療において日常的に頻繁に実施される処置である歯ブラシによる歯面清掃は,吸引よる飛沫飛散量の制御が難しい処置であることが示唆された。
歯科医療従事者の感染防護のためには,非注水や非切削処置であったとしても術者の抱くイメージと実際の飛沫飛散量には差がある可能性があり,どの処置においても個人防護具の適正使用と適正な換気に努める必要があると考えられた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)