[P-02] 都市部と農村部在住自立高齢者のフレイルとオーラルフレイルの比較
【目的】
本研究は都市部および農村部で自立生活している高齢者のフレイルとオーラルフレイルの状況と各種要因を比較分析することである。
【方法】
介護保険の要介護度1~5を除く65歳以上の地域在住自立高齢者を対象に、質問紙調査と専門職による身体および口腔機能評価を行った。都市部での調査は2021年11月~12月にA市(人口約83万人、高齢化率28.0%)79名と、農村部では2022年9月にB村(人口約1,200人、高齢化率55.4%)39名に行った。2つの地域の対象者の属性、フレイル(J-CHSと簡易フレイル)および簡易オーラルフレイル(聖隷式嚥下スコア)についてカイ2乗検定を行った。次に身体機能、生活状況、社会参加、心理的要因およびQOLを比較した。なお、性別に有意差があったため、交絡因子となる性別を調整するため、性別を層別因子とするMantel-Haenszel検定を行った。大阪府立大学人間社会システム科学研究科倫理審査委員会 承認番号:2019(1)-14)
【結果と考察】
フレイルは2つの地域で有意差がなく、身体機能の客観的評価では開眼片足立ち以外には有意差がなかった。A市では定期的に運動をしている人が、B村では日常的に農作業をしている人が多かったためと考えられた。しかし、身体機能の主観的評価の簡易フレイル(推定値2.915)と15分間の継続的な歩行(推定値3.356)がB村で低下している割合が高かった。また、健康関連QOLでは精神的尺度には有意差がなかったが、身体的尺度の身体的サマリースコア(推定値2.603)と下位尺度の身体機能(推定値2.712)と身体の痛み(推定値2.645)がB村で平均未満が有意に多かった。これは長年の農業による体の酷使のために身体的機能や身体的痛みのQOLが低かったと考えられた。一方、A市とB村ともに約半数にオーラルフレイルまたは嚥下機能低下が認められ、2つの地域間に有意差はなかった。現在歯数に有意差があったが、補綴歯を含めた機能歯数に有意差がなかったためと考えられた。以上の結果より都市と農村在住の自立高齢者のフレイルとオーラルフレイルの状況に差はなかった。また、身体的な状況がQOLの低下に影響を与えていたことが示唆された。
本研究は2019年度科学研究費補助金基盤B(19H01588)の助成を受けた。(COI開示:なし)
本研究は都市部および農村部で自立生活している高齢者のフレイルとオーラルフレイルの状況と各種要因を比較分析することである。
【方法】
介護保険の要介護度1~5を除く65歳以上の地域在住自立高齢者を対象に、質問紙調査と専門職による身体および口腔機能評価を行った。都市部での調査は2021年11月~12月にA市(人口約83万人、高齢化率28.0%)79名と、農村部では2022年9月にB村(人口約1,200人、高齢化率55.4%)39名に行った。2つの地域の対象者の属性、フレイル(J-CHSと簡易フレイル)および簡易オーラルフレイル(聖隷式嚥下スコア)についてカイ2乗検定を行った。次に身体機能、生活状況、社会参加、心理的要因およびQOLを比較した。なお、性別に有意差があったため、交絡因子となる性別を調整するため、性別を層別因子とするMantel-Haenszel検定を行った。大阪府立大学人間社会システム科学研究科倫理審査委員会 承認番号:2019(1)-14)
【結果と考察】
フレイルは2つの地域で有意差がなく、身体機能の客観的評価では開眼片足立ち以外には有意差がなかった。A市では定期的に運動をしている人が、B村では日常的に農作業をしている人が多かったためと考えられた。しかし、身体機能の主観的評価の簡易フレイル(推定値2.915)と15分間の継続的な歩行(推定値3.356)がB村で低下している割合が高かった。また、健康関連QOLでは精神的尺度には有意差がなかったが、身体的尺度の身体的サマリースコア(推定値2.603)と下位尺度の身体機能(推定値2.712)と身体の痛み(推定値2.645)がB村で平均未満が有意に多かった。これは長年の農業による体の酷使のために身体的機能や身体的痛みのQOLが低かったと考えられた。一方、A市とB村ともに約半数にオーラルフレイルまたは嚥下機能低下が認められ、2つの地域間に有意差はなかった。現在歯数に有意差があったが、補綴歯を含めた機能歯数に有意差がなかったためと考えられた。以上の結果より都市と農村在住の自立高齢者のフレイルとオーラルフレイルの状況に差はなかった。また、身体的な状況がQOLの低下に影響を与えていたことが示唆された。
本研究は2019年度科学研究費補助金基盤B(19H01588)の助成を受けた。(COI開示:なし)