[P-06] 栃木県における後期高齢者歯科健診を普及させる取り組み―健診および保健指導の一体的実施の推進-
【目的】高齢者の健康長寿の延伸に向けては、栄養状態の維持やフレイルへの対応が重要である。健診を行うことで、低栄養やフレイルのリスクに繋がる口腔状態、口腔機能低下を早期に発見し対応していくことが求められている。健診後のリスク者への対応として、保健事業に基づく保健指導が必要であるが、これまで、当歯科医師会では実施されていない状況であった。今回、当歯科医師会では健診から保健指導への流れを構築するために、かねてより推奨されている健診事業と保健事業の一体的実施を開始したため、取り組みについて報告を行う。【方法】令和5年9月から11月に鹿沼市後期高齢者医療集団歯科健康診査を計3回開催した。本健診では、75歳、80歳、85歳の節目の対象者に受診券を郵送し、参加者を募った。集団健診を行い、同日に保健指導を実施した。測定項目としては、厚労省が提示する後期高齢者歯科健診の検査項目に加えて、栄養状態の評価をMNA-SF、フレイルリスクについてはイレブンチェックを用いて評価を行った。健診の結果から歯科受診の必要性のある者に受診勧奨を行った。また、MNA-SFで11点以下またはイレブンチェックで1つ以上該当者を保健指導該当者に設定し、同日に実施した。【結果と考察】3回の健診で計68名の対象者が参加した。男性31名、女性37名、平均年齢は75.9±2.7歳であった。健診の結果、口腔状態については、要指導または要治療該当者は59名(86.8%)であった。低栄養またはフレイルのリスクありと判定された者は58名(85.3%)であった。保健指導の受診率は98.5%であった。 歯科治療の必要性がある者、低栄養またはフレイルのリスクがある者は高い割合であった。集団健診から保健指導を同日に行うことにより、多くの対象者に保健指導を実施することに繋がった。高齢者歯科健診の推進は、国民の健康長寿延伸や医療費削減に向けて、喫緊の課題である。健診事業と保健事業の一体的実施について、継続的に行い、その効果について検証するためにデータの蓄積を行う予定である。(COI 開示:なし)(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号NDU-T2023-32)