[P-100] 東京医科歯科大学病院オーラルヘルスセンターの患者推移
【目的】
我が国では近年,医科歯科連携を行うことの重要性が示され,入院中の患者に対する口腔ケアが入院期間の短縮や誤嚥性肺炎の発症予防につながることが明らかとなっている。東京医科歯科大学病院は2022年に医科歯科連携強化を目的としてオーラルヘルスセンター(以下,OHC)を開設した。本研究ではOHC開設以降の,東京医科歯科大学病院における医科歯科連携の実態を調査し,OHCの活動の実態とその意義について検討を行ったので報告する。
【方法】
本研究は2022年1月から2023年6月までの期間に,OHCを受診した初診と再診の全患者を対象として実施した。調査項目は患者の初診・再診の受診日と,依頼元の医科系診療科,依頼内容とし,歯科及び医科カルテよりデータの抽出を行い,後ろ向きに検討した。
【結果と考察】
OHC受診患者数は増加傾向にあり,対象期間の総受診患者数は7162名(初診1707名,再診5455名)であった。初診患者は2022年1月と2023年6月を比較すると57名から189名へと約3.3倍,再診患者は72名から725名と約10.1倍の増加が認められた。依頼内容で最も多いのは周術期等口腔機能管理依頼で,全依頼の28.7%を占めた。次点でう蝕治療などの歯科治療依頼,口腔ケア依頼であり,骨修飾薬使用前の口腔内精査依頼や挿管時に歯の脱落リスクのある症例への対応依頼など,多岐にわたる内容を受けていることが明らかとなった。OHCへ歯科介入依頼をした診療科は全35科であり,最も多いのは麻酔科外来で診療科全体の内約16%を占めた。次いで頭頚部外科や泌尿器科などの診療科からの依頼を受けていることが示された。また,手術前の口腔スクリーニングでは2023年6月時点で全12科の患者に対して周術期等口腔機能管理の介入が実施されていることが明らかとなった。
本研究の結果,OHC開設以降,OHCへの来院患者数や依頼件数は増加傾向にあることが明らかとなり,周術期等口腔機能管理をはじめとして当院での歯科に対する需要が高まっていることが推測できた。一方,歯科依頼件数が少ない科も複数認められたため,今後OHCでは歯科の重要性を改めて周知し,さらなる医科連携強化の取り組みを行い,その役割を果たしていく必要があると示唆された。
(COI開示:なし)(東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会承認番号:第C2023-0009番)
我が国では近年,医科歯科連携を行うことの重要性が示され,入院中の患者に対する口腔ケアが入院期間の短縮や誤嚥性肺炎の発症予防につながることが明らかとなっている。東京医科歯科大学病院は2022年に医科歯科連携強化を目的としてオーラルヘルスセンター(以下,OHC)を開設した。本研究ではOHC開設以降の,東京医科歯科大学病院における医科歯科連携の実態を調査し,OHCの活動の実態とその意義について検討を行ったので報告する。
【方法】
本研究は2022年1月から2023年6月までの期間に,OHCを受診した初診と再診の全患者を対象として実施した。調査項目は患者の初診・再診の受診日と,依頼元の医科系診療科,依頼内容とし,歯科及び医科カルテよりデータの抽出を行い,後ろ向きに検討した。
【結果と考察】
OHC受診患者数は増加傾向にあり,対象期間の総受診患者数は7162名(初診1707名,再診5455名)であった。初診患者は2022年1月と2023年6月を比較すると57名から189名へと約3.3倍,再診患者は72名から725名と約10.1倍の増加が認められた。依頼内容で最も多いのは周術期等口腔機能管理依頼で,全依頼の28.7%を占めた。次点でう蝕治療などの歯科治療依頼,口腔ケア依頼であり,骨修飾薬使用前の口腔内精査依頼や挿管時に歯の脱落リスクのある症例への対応依頼など,多岐にわたる内容を受けていることが明らかとなった。OHCへ歯科介入依頼をした診療科は全35科であり,最も多いのは麻酔科外来で診療科全体の内約16%を占めた。次いで頭頚部外科や泌尿器科などの診療科からの依頼を受けていることが示された。また,手術前の口腔スクリーニングでは2023年6月時点で全12科の患者に対して周術期等口腔機能管理の介入が実施されていることが明らかとなった。
本研究の結果,OHC開設以降,OHCへの来院患者数や依頼件数は増加傾向にあることが明らかとなり,周術期等口腔機能管理をはじめとして当院での歯科に対する需要が高まっていることが推測できた。一方,歯科依頼件数が少ない科も複数認められたため,今後OHCでは歯科の重要性を改めて周知し,さらなる医科連携強化の取り組みを行い,その役割を果たしていく必要があると示唆された。
(COI開示:なし)(東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会承認番号:第C2023-0009番)