The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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症例・施設-2(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-101] 超高齢者における含歯性嚢胞の2例

○森 美由紀1、大鶴 洋1,2、大沢 啓1、佐藤 はるか1、斉藤 美香1、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科、2. 大鶴歯科口腔外科)

【緒言・目的】
 含歯性嚢胞は、歯根嚢胞に次いで遭遇する機会の多い嚢胞性疾患である。今回われわれは、超高齢者2例の含歯性嚢胞の摘出、完全埋伏歯の抜歯を経験した。
【症例および経過】
 ・症例1:96歳、男性。
(主訴)右頬部の腫瘤。
皮膚科へ紹介された。外歯瘻が疑われ、精査加療目的に当科依頼となった。
(既往歴)高血圧症、貧血。
(現症)口腔外所見では、右頬部に外歯瘻を認めた。口腔内所見では、右下智歯相当歯槽堤に瘻孔を認めた。パノラマX線写真および下顎骨単純CT画像において、右下完全水平埋伏智歯および智歯周囲に単房性透過像がみられた。
(臨床診断)右側下顎含歯性嚢胞、完全水平埋伏智歯
(経過)局所麻酔下に埋伏智歯抜歯術および嚢胞摘出術を施行した。病理組織学的診断は、含歯性嚢胞であった。術後1年経過後も経過良好である。
症例2:91歳、男性。
(主訴) 右頬部腫脹、疼痛。
(現病歴)施設入居中。3週間前から右下臼歯部の歯肉の腫脹と疼痛が出現し、訪問医を受診し、セファクロルを処方されたが、症状改善せず当科紹介となった。
(既往歴)心房細動、パーキンソン病。
(現症)口腔外所見では、右頬部の腫脹を認めた。口腔内所見では、右下第1および第2大臼歯間頬側歯肉に瘻孔を認めた。パノラマX線写真および下顎骨単純CT画像において、右下完全水平埋伏智歯および智歯周囲に単房性透過像がみられた。
(臨床診断)右側下顎含歯性嚢胞、完全水平埋伏智歯
(経過)局所麻酔下に埋伏智歯抜歯術および嚢胞摘出術を施行した。病理組織学的診断は、含歯性嚢胞であった。
【考察】1981-2023年、本邦において65歳以上の高齢者の含歯性嚢胞の報告は6例、90歳以上の含歯性嚢胞の症例は渉猟し得なかった。自験例のように、視診上、当該部位に歯が存在しないように思われても、頬部蜂窩織炎や外歯瘻等の原因歯が埋伏している可能性も念頭において、診断・治療を行うことが必要である。消炎のみならず炎症の再燃も考慮し、全身状態が許せば、嚢胞摘出術および原因歯の抜歯術が重要である。
両患者の代諾者に発表について同意を得た。
COI開示:なし
倫理審査対象外