The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 症例・施設-3

症例・施設-3(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-110] 薬物有害事象としての嚥下時鼻腔逆流に対症的に対応し、介護負担軽減と経口摂取の維持を両立した症例

淺川 瑛子1、○三輪 俊太1,2,3 (1. 医療法人社団恵眞会三輪歯科医院、2. 医療法人かがやき総合在宅医療クリニック、3. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)

【緒言・目的】高齢者医薬品適正使用の指針によると,歯科衛生士の役割には薬物有害事象としての嚥下機能低下等の確認もあるとされている。実際に,歯科衛生士が臨床の場で患者の急激な機能低下を経験することは少なくない。しかし,薬物有害事象に対して処方の見直しが必要な場合など,歯科衛生士のみで対応することは困難である。今回,歯科衛生士が薬物有害事象としての嚥下時鼻腔逆流を発見後,他職種と連携して投薬変更となり,残存した機能障害に対しては対症的に対応することで主訴の改善に至った症例を経験したため報告する。【症例および経過】91歳男性,胃癌術後腹部大動脈瘤の既往,認知症等の現病歴あり。歯科初診時の主訴は痰の咽頭残留感であり呼吸訓練を行うことで改善し,その後は機能維持,口腔衛生管理の目的で介入を継続していた。新たに,患者の依存による妻の介護疲れが問題となり,主治医よりリスパダールOD錠0.5㎎,プレガバリン50㎎,デパケン100㎎が追加処方された。服薬6日目の歯科衛生士訪問時,鼻腔逆流による水分摂取拒否を認め,薬剤性有害事象を疑い多職種に報告し,医師の判断で全て投薬中止となった。服薬調整後,最終的にウインタミン10%0.5gの処方となった。嚥下時鼻腔逆流は軽減したものの残存し,リスパダールの副作用の長期化もしくはウインタミンによる有害事象が原因として推察された。今回の処方は介護負担軽減が目的であることから,抗精神病薬の断薬は依頼せず、とろみの付与による鼻腔逆流の改善を目指すこととした。鼻腔逆流を起こさないとろみの量に関する情報を歯科衛生士から看護師へ提供することで、水分摂取量の改善を認めた。なお,本報告の発表については患者本人ならびに家族から文書による同意を得ている。【考察】 本症例では,リスパダールの薬物有害事象をいち早く発見することで,早期の断薬に至ることができた。一方で,介護負担軽減を目的としたウインタミンの処方は医師の判断で継続となったため,嚥下時鼻腔逆流が残存した。多職種が介護者の負担軽減を共通の目的としていたため,処方の中止を無理に進言せず,対症療法としてとろみの付与にて対応することで,抗精神病薬の使用と水分摂取の改善を両立することができた。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)