一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-113] 当院における「骨折リエゾンサービス」の取り組みと歯科衛生士の役割について

○原田 千明1、小山内 奈津美1 (1. 津軽保健生活協同組合 健生病院)

【目的】
 当院では,2020年に骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service:FLS)を医師・看護師・薬剤師・理学療法士・管理栄養士・歯科衛生士の多職種で立ち上げ,脆弱性骨折患者に対する「骨粗鬆症治療開始率」「治療継続率」を上げるとともに二次骨折予防に取り組んでいる。歯科衛生士は,2020年3月よりチームに参加し,FLS対象患者の入院時口腔アセスメントを実施し,アセスメントの結果,歯科治療が必要な患者には地域の歯科医師に往診を依頼し,専門的口腔ケアが必要な患者には,多職種と連携し口腔ケアを行っている。本研究では,FLSチームにおける歯科衛生士の介入意義について検討した。
【方法】
 対象:2020年6月1日から2023年12月31日の期間,大腿骨近位部骨折で当院整形外科病棟に入院した50歳以上の患者551例歯科衛生士による口腔アセスメントの方法:FLS対象患者には,入院時にOHAT-Jを用いてアセスメントを実施した。アセスメント結果は,カンファレンスにて情報共有した。また,カンファレンスでは,アセスメント結果をもとに薬剤投与や抜歯等の歯科治療の可否を検討した。歯科治療が必要な患者は,かかりつけ歯科医師や地域の連携歯科医院に往診治療を依頼した。(倫理審査対象外)
【結果及びまとめ】
 アセスメントの結果,口腔内に問題がある患者は285例で,歯科往診を実施した患者は116例であった。歯科衛生士による口腔アセスメントは,早期服薬投与を目的とした歯科介入や口腔状態に応じた適切な口腔ケアの提供に繋がり,FLSチームにおける歯科衛生士介入の有用性が示唆された。骨粗鬆症治療において骨吸収抑制薬は,重篤な副作用として顎骨壊死・顎骨骨髄炎との関連性が指摘され,薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)として認識されているが,病院職員の認識は不十分である。今後,職員に二次骨折予防と骨粗鬆症治療の重要性やチーム活動の周知を目的に,学習会及び患者や家族への啓発活動を行う必要性がある。今回の調査においては,対象患者の概要及びアセスメント結果や往診内容等の詳細については調査していないため,今後の課題としたい。
( COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)