一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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口腔機能-1(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-13] 外来受診高齢女性の舌圧と生体電気インピーダンス(BIA)法による筋肉量との関連の予備的検討

○太田 緑1、堀 綾夏1、飯干 由茉2、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京歯科大学水道橋病院歯科衛生士部)

【目的】
 栄養状態の評価にはBody Mass Index (BMI)が広く用いられている。一方、サルコペニアのスクリーニングや診断には,生体電気インピーダンス(BIA)法を用いた除脂肪量指数(FFMI)や骨格筋指数(SMI)が用いられる。これまで我々は,40~64歳の健康成人を対象に,口腔機能のうち舌圧から筋肉量の予測式を得たことを報告した1)。今回,口腔機能低下症の検査を実施した高齢者を対象に,中年者と同様に舌圧から筋肉量が予測できるかを予備的に検討することを目的とした。
【方法】
 東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能検査を実施した65歳以上の女性5名(平均年齢80±5歳)を対象とした。随意的最大舌圧(kPa),BMI(kg/m2)およびBIA法による体組成計(InBody S10)にて除脂肪量(kg)と四肢骨格筋量(kg)を測定し,FFMI(kg/m2)とSMI(kg/m2)を算出した。中年期の成人で求めた単回帰式1)を用いて,高齢者の舌圧からBMI,FFMIおよびSMIの予測値を算出し,残差(実測値-予測値)を求めた。
【結果と考察】
 参加者のBMIは23.2±3.2,FFMIは15.7±1.5,SMIは8.2±0.9だった。舌圧は33.1±3.1であり,比較的維持されていた。残差(平均±SD(最小,最大))は,FFMIが-0.53±1.7(-3.38,1.21),SMIが-0.78±1.0(-2.53,0.25)だった。残差は0に近く,健康成人から得られた回帰式と大きな差異はなかった。しかし,本研究の対象者のFFMIとSMIの残差の平均が負であったことから,高齢者では舌の筋力低下よりも骨格筋量の低下が大きい可能性があることが示された。以上の結果より,高齢女性では中年者同様に、舌圧の低下は骨格筋量の低下と関連しているが,予測式は異なる可能性が示され,年齢を含めた新たな回帰式の必要性が示唆された。
1) Nishi et al. Oral function is associated with the body and muscle mass indices of middle-aged dental patients. Clin Exp Dent Res. 2022
(JSPS科研費JP17K17382)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認番号1069)