[P-18] 高齢者の下顎骨骨髄炎に対し下顎骨半側切除術後に心筋梗塞を発症した1例
【緒言・目的】
高齢者は、生態機能および生理的予備能が低下していることが多く、すでに発生している慢性疾患などに対する術後における周術期管理は十分行わなければならない。特に心疾患に対する対策は重要である。今回演者らは、心臓疾患、脳梗塞により抗血栓療法治療下の下顎骨骨髄炎に対し、下顎骨半側切除術を施行した術後3週間の退院直後に心筋梗塞を発症した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
【症例および経過】
75歳の男性。主訴:左側顎下部の腫脹。現病歴:左側顎下部疼痛を自覚し紹介来院した。左側下顎骨骨髄炎診断のもと左側下顎骨腐骨除去術施行しその後経過良好であった。しかし術後1年後に左側下顎角部の腫脹、開口障害を認めるようになり、下顎骨骨髄炎再燃の診断を得た。手術を勧めたが希望が得られず、たびたび起こる炎症症状に対し消炎療法のみ施行した。しかしその後、心臓病の経過が良好と循環器内科で判断され、以前埋入したペースメーカーの除去を検討することとなったが、術後感染予防のため、心臓手術前に下顎骨骨髄炎の根治術を指示され、下顎骨骨髄炎のオペ施行となった。現症:全身所見:特記事項なし。局所所見:口腔外;左側顎下部腫脹、疼痛および下瘻孔からの排膿が認められた。口腔内;左側下顎無歯顎歯肉に腫脹および排膿が認められた。既往歴:11年前脳梗塞、右側頭部手術、10年前心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術、6年前心筋梗塞再発ステント設置術施行、3年前植え込み型ペースメーカー装着、発作性心房細動、高血圧。アスピリン100mg、リバーロキサバン10mg他服用中。画像所見: Tcシンチグラフィーは左側下顎骨体から下顎枝部に集積像が認められた。臨床診断:左側下顎骨骨髄炎。処置及び経過:循環器内科と十分対診協議し抗血栓療法継続し全身麻酔下に気管切開、下顎骨半側切除術、A-O骨頭付きプレートによる即時再建術を施行した。術後止血困難であったが3週間後退院となった。しかし退院2日後、急性心筋梗塞を発症し循環器内科緊急入院し、バイパス手術施行により改善した。口腔外科手術部は良好で現在経過観察中である。
【考察】
抗血栓療法施行中の観血的処置について周術期管理のあり方を十分検討する必要がある。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
高齢者は、生態機能および生理的予備能が低下していることが多く、すでに発生している慢性疾患などに対する術後における周術期管理は十分行わなければならない。特に心疾患に対する対策は重要である。今回演者らは、心臓疾患、脳梗塞により抗血栓療法治療下の下顎骨骨髄炎に対し、下顎骨半側切除術を施行した術後3週間の退院直後に心筋梗塞を発症した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
【症例および経過】
75歳の男性。主訴:左側顎下部の腫脹。現病歴:左側顎下部疼痛を自覚し紹介来院した。左側下顎骨骨髄炎診断のもと左側下顎骨腐骨除去術施行しその後経過良好であった。しかし術後1年後に左側下顎角部の腫脹、開口障害を認めるようになり、下顎骨骨髄炎再燃の診断を得た。手術を勧めたが希望が得られず、たびたび起こる炎症症状に対し消炎療法のみ施行した。しかしその後、心臓病の経過が良好と循環器内科で判断され、以前埋入したペースメーカーの除去を検討することとなったが、術後感染予防のため、心臓手術前に下顎骨骨髄炎の根治術を指示され、下顎骨骨髄炎のオペ施行となった。現症:全身所見:特記事項なし。局所所見:口腔外;左側顎下部腫脹、疼痛および下瘻孔からの排膿が認められた。口腔内;左側下顎無歯顎歯肉に腫脹および排膿が認められた。既往歴:11年前脳梗塞、右側頭部手術、10年前心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術、6年前心筋梗塞再発ステント設置術施行、3年前植え込み型ペースメーカー装着、発作性心房細動、高血圧。アスピリン100mg、リバーロキサバン10mg他服用中。画像所見: Tcシンチグラフィーは左側下顎骨体から下顎枝部に集積像が認められた。臨床診断:左側下顎骨骨髄炎。処置及び経過:循環器内科と十分対診協議し抗血栓療法継続し全身麻酔下に気管切開、下顎骨半側切除術、A-O骨頭付きプレートによる即時再建術を施行した。術後止血困難であったが3週間後退院となった。しかし退院2日後、急性心筋梗塞を発症し循環器内科緊急入院し、バイパス手術施行により改善した。口腔外科手術部は良好で現在経過観察中である。
【考察】
抗血栓療法施行中の観血的処置について周術期管理のあり方を十分検討する必要がある。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)