[P-23] 鹿児島医療センターにおける高齢心臓弁膜症患者に対する周術期口腔機能管理
【目的】心臓弁膜症手術では,口腔内細菌に関連する感染性心内膜炎や誤嚥性肺炎などの合併症は術後経過や予後に影響を及ぼし,特に高齢患者ではその危険度が高くなる.そのため術後合併症危険度軽減には術前からの周術期口腔機能管理が重要となる.鹿児島医療センターでは従来より心臓弁膜症手術患者に対して周術期口腔機能管理に取り組んできた.今回,高齢心臓弁膜症手術患者に対しての周術期口腔機能管理について検討した.
【方法】対象は2022年6月から2023年6月までに当科に周術期口腔機能管理を依頼された有歯顎,65歳以上の高齢心臓弁膜症患者で研究の同意を得られた118例(男性66例,女性52例,平均年齢79.3歳).心臓弁膜症手術の術前検査時に当科へ紹介された対象患者に対して周術期口腔機能管理の介入を行った.口腔内診査,評価後に口腔衛生管理を実施し,必要に応じて歯科治療も実施した.初診時から手術入院期間を通じて周術期口腔機能管理を実施し,初診時,術前,術後に口腔内評価を行い,口腔衛生状況および,術後の発熱および肺炎の有無等について検討を行った.
【結果と考察】対象患者の83例(70.3%)が後期高齢者であった.初診時の口腔内評価では,平均残存歯数は18.8本で19本以下は57例(48.3%)で,歯周ポケット4㎜以上平均保有歯数は4.8本であった.PCRの平均は初診時74.1%で術前68.2%,術後は63.8%であった.口腔衛生状態概評では不良,著しく不良の患者が初診時34.2%,術前は25.4%,術後は18.9%で,舌苔は1/3以上付着は初診時33.1%,術前30.5%,術後33.3%であった.術前の口腔水分計の評価では平均が28.1で,33.1%の患者が口腔乾燥にあたる27未満であった.また,3日以上発熱の患者は9例(5.7%),術後肺炎は1例であった.初診時の口腔衛生状態不良患者は約3割存在したが介入により術前には改善し術後も維持され,術後肺炎発症も1例と術後合併症の予防に一定の効果を認め,周術期口腔機能管理は重要な医療管理の一つと考えられた.また,初診時に口腔機能低下症を疑わせる患者を認め,高齢者の周術期口腔管理では口腔機能低下症予防を考慮した管理が必要と考えられた.
(COI開示:なし)
(国立病院機構鹿児島医療センター倫理審査委員会承認番号 2021-7)
【方法】対象は2022年6月から2023年6月までに当科に周術期口腔機能管理を依頼された有歯顎,65歳以上の高齢心臓弁膜症患者で研究の同意を得られた118例(男性66例,女性52例,平均年齢79.3歳).心臓弁膜症手術の術前検査時に当科へ紹介された対象患者に対して周術期口腔機能管理の介入を行った.口腔内診査,評価後に口腔衛生管理を実施し,必要に応じて歯科治療も実施した.初診時から手術入院期間を通じて周術期口腔機能管理を実施し,初診時,術前,術後に口腔内評価を行い,口腔衛生状況および,術後の発熱および肺炎の有無等について検討を行った.
【結果と考察】対象患者の83例(70.3%)が後期高齢者であった.初診時の口腔内評価では,平均残存歯数は18.8本で19本以下は57例(48.3%)で,歯周ポケット4㎜以上平均保有歯数は4.8本であった.PCRの平均は初診時74.1%で術前68.2%,術後は63.8%であった.口腔衛生状態概評では不良,著しく不良の患者が初診時34.2%,術前は25.4%,術後は18.9%で,舌苔は1/3以上付着は初診時33.1%,術前30.5%,術後33.3%であった.術前の口腔水分計の評価では平均が28.1で,33.1%の患者が口腔乾燥にあたる27未満であった.また,3日以上発熱の患者は9例(5.7%),術後肺炎は1例であった.初診時の口腔衛生状態不良患者は約3割存在したが介入により術前には改善し術後も維持され,術後肺炎発症も1例と術後合併症の予防に一定の効果を認め,周術期口腔機能管理は重要な医療管理の一つと考えられた.また,初診時に口腔機能低下症を疑わせる患者を認め,高齢者の周術期口腔管理では口腔機能低下症予防を考慮した管理が必要と考えられた.
(COI開示:なし)
(国立病院機構鹿児島医療センター倫理審査委員会承認番号 2021-7)