一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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実態調査-1(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-29] 某歯科診療所を受診中の高齢患者のフッ化物配合歯磨剤の使用状況に関する調査

○遠藤 眞美1、朝田 和夫2、呉 明憲2、朝田 真理2、竹川 ひとみ2、長野 雅一2、野本 たかと1 (1. 日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座、2. あさだ歯科口腔クリニック)

【目的】
 2023年1月1日に日本口腔衛生学会,日本小児歯科学会,日本歯科保存学会,日本老年歯科医学会による「4学会合同 う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が公開され,その後,多くの国民に普及にむけて4月13日に【普及版】が改めて発表された。普及版の内容は,4月21日に,厚生労働省医政局歯科保健歯科口腔保健推進室から,各都道府県,保健所設置市,特別区の歯科口腔保健担当局に向けてそれらの内容の情報提供がなされている。令和4年度歯科疾患実態調査によると国民の52%がフッ化物配合歯磨剤を使用していると報告されているが,高齢者の使用については詳細がわかっていない。
 そこで,歯科診療所受診中の高齢患者に対して歯磨剤の使用状況について調査した。
【方法】
 対象は,東京都にある某歯科診療所を受診した49人の高齢患者とした。
 調査項目は,診察前に歯みがき回数,歯みがき時に使用する歯磨剤などの種類,歯磨剤使用時のフッ化物濃度および使用量に関する自記式質問調査と診察時の歯数および義歯の有無などとした。
【結果と考察】
 歯数は,9歯以下11人,10~19歯14人,20歯以上24人であった。歯みがき回数は,3回以上が24人,2回以上が18人であった。練り歯みがき剤使用者は44人,ジェル状の歯磨剤3人で,歯磨剤などを使用しないは3人であった。歯磨剤のフッ化物濃度については,高濃度を選択1人,濃度は不明だがフッ素入りを選択10人,フッ素入りかどうかは気にしていない33人,フッ素無配合を意識して選択1人であった。使用量については1~2㎜の米粒大3人,5㎜程度のグリーンピース大25人,1.5㎝以上の歯ブラシ全体が18人であった。
 今回の結果から歯磨剤の使用割合は高かったものの,う蝕予防に重要なフッ素濃度や量について意識せずに使用していた。6歳以上のフッ化物配合歯磨き剤の推奨量は高濃度フッ化物配合歯磨き剤を1.5~2㎝の使用が推奨されているが,推奨量を使用している割合は37%であった。超高齢社会で,いわゆる多歯時代を迎えるわが国にとっては根面う蝕を含むう蝕予防は重要な課題といえ,そのためには正しいフッ化物配合歯磨き剤の使用方法などの啓発が重要であると考えられた。
(COI開示:なし)
(日本大学松戸歯学部倫理審査委員会 EC15-011)