一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 実態調査-1

実態調査-1(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-31] 高齢者の咬合状態と服薬が唾液分泌に与える影響

○新明 桃1、小林 利彰1、鬼木 隆行1、田崎 雅和2 (1. 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所、2. 東京歯科大学)

【目的】
 本研究は,高齢者の咬合状態および服薬が唾液分泌に与える影響を検討した。
【方法】
 3歯科医院の来院患者のうち,本研究に同意が得られた40-90代の176名(男性81名,女性95名,平均年齢:73.4±9.4歳)を対象とした。問診にて服薬の状況を確認後,歯式を記録した。刺激唾液量はサリバーガムα(東京歯材社)を3分間咀嚼した時の総唾液量(g)とした。アイヒナー分類(咬合支持域をA,B,Cの3群に分類)で咬合状態を層別し,刺激唾液量との関係を解析した。統計解析は,Kruskal-Wallis検定後,多重比較検定としてBonferroni検定を用いた。服薬の影響と刺激唾液量の関係は,Mann-WhitneyのU検定で解析した。
【結果と考察】
 ①アイヒナー分類による咬合状態と刺激唾液量
 B群,C群はA群より刺激唾液量が有意に少なかった(A群:3.43±3.09g,68名,B群:2.54±2.90g,76名,C群:2.34±2.04g,32名,AB,AC間p<0.05)。
 ②服薬と刺激唾液量
 口渇副作用を有する薬剤を服用している群(以下,副作用あり群)は副作用なし群(服薬なしを含む)より刺激唾液量が有意に少なかった(副作用あり群:1.97±2.17g,51名,副作用なし群:3.29±3.05g,125名,p<0.01)。
 ③副作用あり群を除外した時のアイヒナー分類による咬合状態と刺激唾液量(125名)
 B群はA群より刺激唾液量が有意に少なかった(A群:4.13±3.23g,53名,B群:2.60±2.97g,54名,C群:3.33±2.27g,18名,AB間p<0.05)。
 ①,②,③より,咬合状態と刺激唾液量との関係は,A群>B群,C群で刺激唾液量が少なく,さらに口渇副作用を有する薬剤の影響を除外した場合においても,A群からB群へと歯の咬合支持域の減少に伴い刺激唾液量も減少した。以上のことから,自身の歯での咬合維持が刺激唾液分泌に影響を与える可能性が推測された。
【謝辞】
 本研究にあたり多大なるご協力を賜りました佐塚歯科医院 佐塚仁一郎院長,原島歯科医院 原島晃院長,野村歯科医院 野村登志夫院長に深甚なる謝意を表します。
 (COI開示:なし)
 (日本歯科医療管理学会 倫理審査委員会承認番号 日歯医療管理-202201号,公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 倫理審査委員会承認番号 LDH202203)