The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 実態調査-1

実態調査-1(質疑応答)

Sat. Jun 29, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-32] 急性期関連病院への訪問口腔ケアの現状

○加藤 瀬里菜1、髙木 幸子1、近藤 真帆2、吉川 峰加2、津賀 一弘2 (1. 広島市立リハビリテーション病院、2. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学)

【目的】
 現在,当科は歯科のない急性期関連病院(156床)への往診を週2回行っている。COVID-19のパンデミックを経て,口腔ケア依頼数が減少傾向にあるため,2018年度から2022年度の5年間,どのように推移したか,現状把握することを目的とした。
【方法】
 対象者は2018年4月~2023年3月まで,歯科のない急性期関連病院より口腔ケア依頼があった患者の人数とのべ人数を算出した。また,COVID-19の影響を検討するため,口腔ケアと嚥下回診依頼数,病床利用率の関連を検討し,口腔ケア介入患者の転帰ならびに主病名や予後を検索した。
【結果と考察】
 摂食嚥下評価の依頼を受けた患者数は,2018年,2019年度は100名程度であった者が,2020年,2021年には年間40件程度と半減し,2022年度も80件程度と以前までには回復していないものの,概ね同程度の依頼を受けるようになってきた。口腔ケアの依頼は,2018年,2019年度は50名程度であった者が2020年,2021年には同じく20件程度と半減し,2022度も同じく20件程度で,依頼件数は回復していなかった。この原因を探ると,COVID-19パンデミック前は,脳血管障害で寝たきりとなっていた者や誤嚥性肺炎患者の口腔ケアが主として依頼されていたが,COVID-19パンデミック期間中は,口腔清掃についてもさまざまな議論が生じたこともあり,一気に依頼が減少し,看護師等での口腔ケアが十分にできない重症患者のみが紹介されており,口腔ケアを実施していた患者の死亡退院がこの期間に増えていた。
 この関連病院は,以前より誤嚥性肺炎の入院患者が多く,その治療において摂食嚥下機能評価が求められて,訪問診療を行い始めたという経緯があった。摂食機能評価はCOVID-19感染で長期療養となった患者の廃用による嚥下機能の評価などを実施してきたが,口腔ケアは重症患者のみの依頼へ変化してきた。この依頼の変化が現在まで継続されており,セルフケア困難といった理由での紹介が控えられているのではないかと考えられる。また,口腔ケアをどのような症例で依頼してもらうべきなのか今後もう一度スタッフ間での意識の共有が必要ではないかと考えられた。

(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)