The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 実態調査-1

実態調査-1(質疑応答)

Sat. Jun 29, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-34] 鹿児島医療センターにおける口腔ケアラウンド患者の口腔機能管理についての分析

○福永 莉々亜1、大河内 孝子1、中村 康典1、西 恭宏2 (1. NHO鹿児島医療センター 歯科口腔外科、2. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 口腔顎顔面補綴学講座)

【目的】
 当院では2013年3月に医科歯科連携推進、入院患者の口腔管理の向上を目的に歯科口腔外科を開設した。これに伴い入院患者への口腔衛生を改善し、維持・向上するために2013年6月に口腔ケア委員会を発足し、10月より口腔ケアチームの活動を開始した。がん治療、循環器疾患、脳血管疾患などの入院患者で、口腔衛生状態が悪く看護師での口腔ケアが困難な患者に対して口腔ケアラウンド(以下、ラウンド)を実施し、適切な口腔ケアを提供してきた。ラウンドを開始して2023年度で10年が経過した。今回、ラウンドの介入による効果の現状を検証するため、2019年から5年間について臨床統計学的に分析し、ラウンドの効果や今後の課題について検討を行い、入院患者の口腔のQOL向上に繋げることを目的とする。
【方法】
 対象は、2019年4月から2023年3月までのラウンド実施入院患者201名である。方法は、ラウンドの集計結果から介入の年次推移、及び当院の口腔内評価項目である「口腔衛生状態(プラーク、歯石、食物残渣、剥離上皮の有無)」・「口臭」・「舌苔」・「口腔乾燥」・「口腔粘膜炎」など介入前後の変化を分析するとともに、ラウンドを通じた口腔ケアチームの現状活動を評価し、今後の課題に向けて後ろ向きに検討を行った。
【結果と考察】
 ラウンド実施入院患者全体の9割が、離床不能の患者であり年齢分布の調査結果では、80代が最も多く82名(41%)、次いで70代が60名(30%)で全体の約7割を占めていた。医科原疾患は、循環器疾患(36%)・脳血管疾患(25%)・その他悪性腫瘍(11%)・造血器腫瘍(9%)・呼吸器疾患(6%)・頭頸部がん疾患(4%)・その他(10%)であった。また、口腔内評価では、概評・口臭・舌苔・口腔粘膜炎の項目で、介入前と比較し介入終了時には有意に改善していた。口腔乾燥については、改善傾向であったが、他の評価項目と比べ介入後も残存する傾向を認めた。
 今回の調査結果で、ラウンドを行うことで入院患者の口腔衛生状態の改善の一定の効果が認められたとなった。また今後、歯科医師および歯科衛生士と病棟看護師とで口腔内評価法を共有し、患者にとって質の高い医療を目指すため今後もラウンドを継続し、急性期病院で求められる口腔管理の実施が必要と考えられた。
(COI 開示:なし)
(NHO鹿児島医療センター 倫理審査委員会承認番号 2023-25)