一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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加齢変化・基礎研究(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-37] シェイク!ミックスストーンとアローマインジェクションの組合せ使用による訪問診療への有用性の検証

○勝又 淳友1、佐藤 拓也1 (1. 株式会社ジーシー)

【目的】
 ㈱ジーシーでは「シェイカーのみで練和可能」,「高流動性のためバイブレータ不要で石膏注入可能」,「盛上げ後5分で印象から撤去可能」が特長の石こう:シェイク!ミックスストーン(S!MS)および「寒天印象材の代替として連合印象で保険算定可能」となり「寒天コンディショナー不要で直ぐに使えるカートリッジタイプ」の連合印象用アルジネート印象材:アローマインジェクション(ARI)を販売している.この2製品の組合せにより,必要器具や準備が不要となり,短時間での模型作製が可能となるため,訪問診療への有用性が期待できる.今回,この2製品を評価し,訪問診療への有用性を検証した.
【方法】
 S!MSとの比較に硬質石こうのニュープラストーンⅡ(NPⅡ),超硬質石こうのニューフジロック(NF)を用いた.ARIの比較に寒天印象材のアローマロイド(ARL)を用いた.石こうは圧縮強さと線硬化膨張を測定し(JIS T 6600:2016) , 印象材は寸法変化を測定した(JIS T 6512:2016).
【結果と考察】 
 石こうの圧縮強さついて,S!MSは練和開始5分後に12.3MPaとなり,これはNPⅡとNFの20分後の値と同程度であり速い硬化性を持つことが分かった.線硬化膨張について,2時間後では,超硬質石こう(タイプ4)の規格値:0~0.15%に対して,S!MS:0.14%,NPⅡ:0.25%,NF:0.10%となり,S!MSはNFと同様にタイプ4の規格を満たすため,高精度な模型が作製可能と考えられる.印象材の寸法変化について,JIS規格では試験開始直後の値が1.0%以下に対して,ARLは試験開始直後:0.22%となり規格を満たしたが,30分後:1.42%となり1.0%を超えた.一方ARIは試験開始直後:0.23%,30分後:0.44%となり,30分後でも低い値を維持した.よって,ARIは寒天印象材には無い,経時的な寸法安定性を持つことが分かった.
 これらの特性から,ARIは印象後の石膏注入をフレキシブルな時間に行え,簡便かつ短時間で印象採得可能であり,さらにS!MSにより短時間で高精度な模型を作製できる.よって,この2製品の組合せは,簡便かつ短時間でフレキシブルに模型作製可能なため,訪問診療への有用性が期待できる.
(COI開示:発表者は企業に所属し,研究費・給与等は㈱ジーシーより支給)
(倫理審査対象外)