[P-40] 壮年期および高齢期における口腔機能低下に関する実態調査
【目的】
口腔機能低下症の保険適用範囲が65歳以上から50歳以上へと拡大された。以上から、口腔機能管理を円滑に実施するためには、壮年期も含めた年代を対象とした口腔機能に関するデータ構築が必要であると考える。そこで本研究は、壮年期から高齢期を対象とした口腔機能に関する調査からデータ構築を行い、適切な口腔機能管理を行う基礎的知見を整理することを目的とした。
【方法】
2023年に実施した、壮年期就業者を対象とした調査およびお達者健診2011年コホートの参加者のうち、40歳以上90歳未満に該当し、調査項目にデータ欠損の無い者を対象とした。調査項目は、性、年齢、Tongue Coating Index (TCI)、口腔乾燥(口腔水分計ムーカス)、咬合力(口腔機能モニターOramo-bf)、オーラルディアドコキネシス(ODK)、舌圧、咀嚼機能(咀嚼能力測定用グミゼリー)、嚥下機能(EAT-10)、口腔機能低下症の有無とした。年齢(10歳階級)別に各口腔機能について統計量および口腔機能低下症の有病率を算出し、傾向性検定を行った。
【結果と考察】
解析対象は677名(男性290名、女性387名)で、40歳代が51名、50歳代が66名、60歳代が168名、70歳代が271名、80歳代が121名であった。口腔機能低下症の有病率は、40歳代で5.9%、50歳代で10.6%、60歳代で16.7%、70歳代で26.2%、80歳代で47.9%であり、加齢とともに上昇する傾向を示した(p for linear trend<0.001)。また加齢とともにTCIおよびEAT-10の値は増加し、咬合力、ODK、舌圧、およびグミスコアの値は低下する傾向を示した(p for linear trend<0.001)。特に他の年代と比較して、80歳代において有意な低下がみられた項目は、咬合力、ODK、舌圧、咀嚼機能であった(p<0.001)。以上より、口腔機能低下症の有病率は加齢とともに上昇するが、下位症状については加齢との関係が一様ではないことが示唆された。今後壮年期の対象者を増やしたデータ構築を行うとともに、縦断的に検討し、加齢変化による口腔機能低下の様相をさらに究明する必要があると考える。
(COI 開示:なし)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会承認番号 R22-034、R23-035)
口腔機能低下症の保険適用範囲が65歳以上から50歳以上へと拡大された。以上から、口腔機能管理を円滑に実施するためには、壮年期も含めた年代を対象とした口腔機能に関するデータ構築が必要であると考える。そこで本研究は、壮年期から高齢期を対象とした口腔機能に関する調査からデータ構築を行い、適切な口腔機能管理を行う基礎的知見を整理することを目的とした。
【方法】
2023年に実施した、壮年期就業者を対象とした調査およびお達者健診2011年コホートの参加者のうち、40歳以上90歳未満に該当し、調査項目にデータ欠損の無い者を対象とした。調査項目は、性、年齢、Tongue Coating Index (TCI)、口腔乾燥(口腔水分計ムーカス)、咬合力(口腔機能モニターOramo-bf)、オーラルディアドコキネシス(ODK)、舌圧、咀嚼機能(咀嚼能力測定用グミゼリー)、嚥下機能(EAT-10)、口腔機能低下症の有無とした。年齢(10歳階級)別に各口腔機能について統計量および口腔機能低下症の有病率を算出し、傾向性検定を行った。
【結果と考察】
解析対象は677名(男性290名、女性387名)で、40歳代が51名、50歳代が66名、60歳代が168名、70歳代が271名、80歳代が121名であった。口腔機能低下症の有病率は、40歳代で5.9%、50歳代で10.6%、60歳代で16.7%、70歳代で26.2%、80歳代で47.9%であり、加齢とともに上昇する傾向を示した(p for linear trend<0.001)。また加齢とともにTCIおよびEAT-10の値は増加し、咬合力、ODK、舌圧、およびグミスコアの値は低下する傾向を示した(p for linear trend<0.001)。特に他の年代と比較して、80歳代において有意な低下がみられた項目は、咬合力、ODK、舌圧、咀嚼機能であった(p<0.001)。以上より、口腔機能低下症の有病率は加齢とともに上昇するが、下位症状については加齢との関係が一様ではないことが示唆された。今後壮年期の対象者を増やしたデータ構築を行うとともに、縦断的に検討し、加齢変化による口腔機能低下の様相をさらに究明する必要があると考える。
(COI 開示:なし)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会承認番号 R22-034、R23-035)