一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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口腔機能-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-41] 地域在住高齢者における定期歯科受診状況とオーラルフレイル(OF-5)の関連性の検討:お達者健診研究

○松原 ちあき1,2、白部 麻樹1、本川 佳子1、枝広 あや子1、五味 達之祐1、岩崎 正則1,3、大渕 修一1、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所、2. 静岡県立大学短期大学部歯科衛生学科、3. 北海道大学)

【目的】
オーラルフレイル(OF)対策が普及啓発され、口腔機能への地域住民の意識も高まっている。しかし70歳以上の歯科受療率は低下し、咀嚼困難感を有する者の割合は増加している。そのため高齢期の歯科受診勧奨の視点として、残存歯数維持を主眼とした口腔衛生管理だけでなく、咀嚼等の口腔機能に着目した口腔機能管理も加える必要性がある。そこで定期歯科受診状況がOF該当率の低さに影響するかを調査するため、本研究では地域在住高齢者を対象とした調査データから、OFと歯科受診行動の関連性を整理し、高齢期での歯科受診勧奨の在り方を検討することを目的とした。
【方法】
2022年実施の65歳以上の地域在住高齢者を対象とした来場型健診(お達者健診2011コホート)参加者のうち、MMSE18点以上でデータ欠損のない者を分析対象とした。OFの判定には、Oral frailty 5-item checklist (OF-5)を用い、「残存歯数の減少」、「咀嚼困難感」、「嚥下困難感」、「口腔乾燥感」、「滑舌低下(舌口唇巧緻性低下)」の5項目中2項目以上該当でOFとした。定期歯科受診の有無、口腔内情報(歯数、歯科治療の必要性)、および基礎情報(性、年齢、身体・認知機能等)を得た。定期歯科受診の有無による群間比較にMann-Whitney U test、Chi-square testを用いた。定期歯科受診とOFとの関連の評価に多変量ロジスティック回帰分析を用い、オッズ比(OR)を推定した。
【結果と考察】
分析対象は537名(男性200名、女性337名、平均年齢73.9±6.7歳)で、定期歯科受診を行っている者は62.0%、OF該当者は33.9%であった。定期歯科受診(-)群と比較して、(+)群ではOF該当者、歯科治療の必要性がある者の割合が少なく、残存歯が多かった。多変量解析の結果、定期歯科受診(+)(OR:0.56、95%信頼区間:0.38-0.83)がOFと有意に関連していた。以上より、定期歯科受診の状況は歯科治療必要性だけでなく、OFで示される口腔機能の維持と関連することが示唆された。OF-5による口腔機能評価は、高齢期の歯科受診勧奨を通じて良好な口腔の健康に貢献すると考えられた。
(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会R22-034)
(COI開示:なし)