[P-42] 地域歯科医院来院患者における義歯治療による食品摂取の多様性の変化に関する検討
【目的】
補綴歯科治療前後で咀嚼機能が改善することは種々の報告で知られており,咀嚼機能の低下は栄養摂取の偏りと関連することが報告されている。義歯新製時に簡便な栄養指導の実施により咀嚼機能の改善に加え栄養摂取状況が改善することが報告されている。しかし,地域歯科医院での平均的な診療時間は短く,食習慣や栄養状態の評価を調査・評価し,これを指導に結びつけることは容易でないことが想定される。一方,栄養状態の評価や指導の一つとして,食品摂取の多様性(Dietary Variety)の評価が用いられている。この手法を義歯などによる補綴歯科治療に活用することにより,咀嚼機能の改善と会わせて簡便かつ実効性のある栄養指導が実施できることが期待される。本研究の目的は,地域歯科医院来院患者における義歯治療による食品摂取の多様性の変化について関連を明らかにすることである。
【方法】
地域歯科医院に来院した義歯による補綴歯科治療が必要な患者82名(平均年齢74.9±6.2歳,男性35名,女性47名)を対象とした。対象者の補綴歯科治療前後に10品目(肉類,魚介類,卵類,牛乳,大豆製品,緑黄色野菜類,海藻類,果物,いも類,油脂類)の食品群の1週間の摂取頻度から得点化した食品摂取の多様性スコア(DVS),主観的咀嚼機能として摂取可能食品質問票(平井の方法)による咀嚼スコアおよび客観的咀嚼機能評価(グルコース溶出量)を測定した。治療前後の測定項目の比較については,Wilcoxonの順位符号和検定を(有意水準5%)を用いた。
【結果と考察】
治療前後で必要な調査項目が得られたのは36名であった。補綴歯科治療前と治療後のDVS得点はそれぞれ6.3±2.7点,6.2±2.6点,咀嚼スコアは85.2±18.5点,88.8±13.3点であり,いずれも治療前後において有意な差は認めなかった。一方で,グルコース溶出量は治療前後で77.3±35.6mg/dLから119.6±53.3mg/dLと有意に改善していた。本研究は観察研究であり,対象者への栄養指導などは行っていない。先行研究の報告と同様に客観的咀嚼機能は改善がみられたが,義歯の新製のみでは食嗜好が改善せず,治療前処置としての栄養指導の必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(日本大学松戸歯学部倫理審査委員会承認 承認番号:EC20-040A,B)
補綴歯科治療前後で咀嚼機能が改善することは種々の報告で知られており,咀嚼機能の低下は栄養摂取の偏りと関連することが報告されている。義歯新製時に簡便な栄養指導の実施により咀嚼機能の改善に加え栄養摂取状況が改善することが報告されている。しかし,地域歯科医院での平均的な診療時間は短く,食習慣や栄養状態の評価を調査・評価し,これを指導に結びつけることは容易でないことが想定される。一方,栄養状態の評価や指導の一つとして,食品摂取の多様性(Dietary Variety)の評価が用いられている。この手法を義歯などによる補綴歯科治療に活用することにより,咀嚼機能の改善と会わせて簡便かつ実効性のある栄養指導が実施できることが期待される。本研究の目的は,地域歯科医院来院患者における義歯治療による食品摂取の多様性の変化について関連を明らかにすることである。
【方法】
地域歯科医院に来院した義歯による補綴歯科治療が必要な患者82名(平均年齢74.9±6.2歳,男性35名,女性47名)を対象とした。対象者の補綴歯科治療前後に10品目(肉類,魚介類,卵類,牛乳,大豆製品,緑黄色野菜類,海藻類,果物,いも類,油脂類)の食品群の1週間の摂取頻度から得点化した食品摂取の多様性スコア(DVS),主観的咀嚼機能として摂取可能食品質問票(平井の方法)による咀嚼スコアおよび客観的咀嚼機能評価(グルコース溶出量)を測定した。治療前後の測定項目の比較については,Wilcoxonの順位符号和検定を(有意水準5%)を用いた。
【結果と考察】
治療前後で必要な調査項目が得られたのは36名であった。補綴歯科治療前と治療後のDVS得点はそれぞれ6.3±2.7点,6.2±2.6点,咀嚼スコアは85.2±18.5点,88.8±13.3点であり,いずれも治療前後において有意な差は認めなかった。一方で,グルコース溶出量は治療前後で77.3±35.6mg/dLから119.6±53.3mg/dLと有意に改善していた。本研究は観察研究であり,対象者への栄養指導などは行っていない。先行研究の報告と同様に客観的咀嚼機能は改善がみられたが,義歯の新製のみでは食嗜好が改善せず,治療前処置としての栄養指導の必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(日本大学松戸歯学部倫理審査委員会承認 承認番号:EC20-040A,B)