一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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口腔機能-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-44] 地域歯科医院通院患者への栄養指導が口腔機能と体組成に及ぼす影響

○角野 夢子1,2,3、藤井 航3,4、赤間 愛美2、尾川 理恵2、松本 絵里加2,3、白石 裕介3、田部 士郎3,5 (1. 医療法人角野歯科医院 いまづ歯科、2. 九州歯科大学 大学院、3. 九州歯科大学附属病院 口腔リハビリテーションセンター、4. 九州歯科大学 口腔保健学科 多職種連携推進ユニット、5. 九州歯科大学 歯学科 顎顔面外科学分野)

【目的】
 近年,歯科保険治療において口腔機能低下症の評価と対応,オーラルフレイルの予防が重要視されている。さらに,令和6年度診療報酬改定の基本指針においてもリハビリテーション,栄養管理及び口腔管理の連携・推進が具体的方針として挙げられている。栄養状態と口腔機能との関連についての報告は散見されるが,地域歯科医院における検討や,栄養指導に用いる指標の一つである食品摂取の多様性得点(Dietary Variety Score : DVS),体組成などとの関連を調査した報告は少ない。そこで,本研究では口腔機能と栄養摂取状態,体組成の関連を調査し,地域歯科医院における栄養管理の必要性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 対象は,大分県N市で開業している地域歯科医院に,2023年1月〜12月に通院した65歳以上の高齢者51名(男性15名,女性36名,平均年齢77.9±6.2歳)である。測定項目は口腔機能評価(TCI,口腔粘膜湿潤度,咬合力,機能歯数,ODK(/pa/,/ta/,/ka/),舌圧,咀嚼機能,EAT-10),RSST,DVS,体組成評価(身長,体重,BMI,筋肉量,体脂肪率)とした。DVSの結果に基づき栄養指導を実施した。初回測定時から6か月経過後に再度測定し,各測定値の前後比較を行った。また,DVSが0~3点を低群,4~6点を中群,7~10点を高群として群内の前後比較も行った。
【結果と考察】
 口腔機能は全体的に改善傾向がみられた。RSST,DVS,体重,BMI,筋肉量は有意に改善していた。男女別においては,女性で,咬合力,RSST,DVS,体重,BMI,筋肉量が有意に改善していた。男性では,体重,BMIが有意に改善していた。DVSの前後比較は,全項目において摂取した人数が増加していた。DVSの群内における前後比較では,低群でEAT-10,RSST,DVS,体重,BMI,筋肉量が,中群で口腔粘膜湿潤度,体重,BMI,筋肉量が有意に改善していた。結果から,地域歯科医院において栄養評価や栄養指導を行うことにより,食品摂取の多様性が増加し,口腔機能や嚥下機能の向上がみられ,体組成にも影響を与える可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(九州歯科大学 研究倫理委員会承認番号 22-46)