[P-45] 咀嚼能力における主観的評価と客観的評価の相違を食行動とフレイルから検討する
【目的】
近年,フレイルやサルコペニアといった高齢期における全身の機能低下が問題となっており,この要因として「噛めない」ことによる低栄養がある。歯科では咀嚼能力の客観的評価指標としてグミゼリーによる咀嚼能力検査が広く行われているが,我々は咀嚼能力の主観的評価と客観的評価は必ずしも一致せず,栄養状態の把握のためには咀嚼の主観的評価が重要であることを報告している。本研究では、食行動とフレイルに注目し,咀嚼能力の客観的評価と主観的評価に相違が生じる要因を探ることを目的とした。
【方法】
徳島大学病院歯科(そしゃく科)にてメンテナンスを行っている高齢患者37名(平均年齢78.2±6.4歳)に対し,中道,後藤らが作成したYN食行動質問票の18質問項目に,身体的フレイル・オーラルフレイルに関する質問等15項目を加えた33項目からなる質問票を作成し,調査を行った。質問は食認知,食生活,摂食行動,オーラルフレイル,身体的フレイルの5のカテゴリーに整理した。各質問に対し,「あてはまる」は0点,「時々そういうことがある」は1点,「そういう傾向がある」は2点,「あてはまらない」は3点とし,各カテゴリーに該当する質問の合計点とすべての項目の総得点で評価した。また,咀嚼能力の主観的評価はVAS評価で,客観的評価はグミゼリーによる咀嚼能力評価(グミ検査値)で行い,中央値で2群に分け,それぞれの群での特徴を把握した。
【結果と考察】
今回の被検者は,グミ検査値はすべて100 mg/dl以上であり,客観的には咀嚼能力は低下していない者であった。VAS評価とグミ検査値とでは,摂食行動や摂食行動と関係深い食生活の質問項目の点数に差が見られた。VAS評価は年齢,食生活の影響を受け,グミ検査値はオーラルフレイルの症状に反映する傾向にあった。また,フレイル,オーラルフレイルとも食認知,摂食行動と深く関係していることも示された。以上より,咀嚼能力の主観的評価と客観的評価に影響する食行動の要因の一端が示され,高齢者の咀嚼指導において注意すべきことが示唆された。
(徳島大学病院医学系研究倫理審査委員会承認番号:3522-2)(COI開示:なし)
近年,フレイルやサルコペニアといった高齢期における全身の機能低下が問題となっており,この要因として「噛めない」ことによる低栄養がある。歯科では咀嚼能力の客観的評価指標としてグミゼリーによる咀嚼能力検査が広く行われているが,我々は咀嚼能力の主観的評価と客観的評価は必ずしも一致せず,栄養状態の把握のためには咀嚼の主観的評価が重要であることを報告している。本研究では、食行動とフレイルに注目し,咀嚼能力の客観的評価と主観的評価に相違が生じる要因を探ることを目的とした。
【方法】
徳島大学病院歯科(そしゃく科)にてメンテナンスを行っている高齢患者37名(平均年齢78.2±6.4歳)に対し,中道,後藤らが作成したYN食行動質問票の18質問項目に,身体的フレイル・オーラルフレイルに関する質問等15項目を加えた33項目からなる質問票を作成し,調査を行った。質問は食認知,食生活,摂食行動,オーラルフレイル,身体的フレイルの5のカテゴリーに整理した。各質問に対し,「あてはまる」は0点,「時々そういうことがある」は1点,「そういう傾向がある」は2点,「あてはまらない」は3点とし,各カテゴリーに該当する質問の合計点とすべての項目の総得点で評価した。また,咀嚼能力の主観的評価はVAS評価で,客観的評価はグミゼリーによる咀嚼能力評価(グミ検査値)で行い,中央値で2群に分け,それぞれの群での特徴を把握した。
【結果と考察】
今回の被検者は,グミ検査値はすべて100 mg/dl以上であり,客観的には咀嚼能力は低下していない者であった。VAS評価とグミ検査値とでは,摂食行動や摂食行動と関係深い食生活の質問項目の点数に差が見られた。VAS評価は年齢,食生活の影響を受け,グミ検査値はオーラルフレイルの症状に反映する傾向にあった。また,フレイル,オーラルフレイルとも食認知,摂食行動と深く関係していることも示された。以上より,咀嚼能力の主観的評価と客観的評価に影響する食行動の要因の一端が示され,高齢者の咀嚼指導において注意すべきことが示唆された。
(徳島大学病院医学系研究倫理審査委員会承認番号:3522-2)(COI開示:なし)