一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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口腔機能-3(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-46] 地域居住住民におけるオーラルフレイルのリスクと認知度との関係

○入江 浩一郎1、山本 龍生1 (1. 神奈川歯科大学歯学部社会歯科学系社会歯科学講座口腔衛生学分野)

【目的】
 口腔機能低下の重要性を周知するため,オーラルフレイルの概念が提唱された。しかし,オーラルフレイルのリスクとオーラルフレイルの認知度との関連は不明である。そこで神奈川県の実施した県民歯科保健実態調査結果を用いて,成人におけるオーラルフレイルのリスクと認知度との関連について,そして認知度に関連する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 2020年度の県民歯科保健実態調査結果を二次利用申請し,提供を得た。調査は2020年6月~2021年3月に行われ,歯科診療所において外来または訪問により診療を行った20歳以上の初診患者を対象として,属性,口腔内状況,歯科保健行動,生活習慣および歯科保健に関する知識の調査が行われた。本研究に用いる変数に欠損のない5,051名(59.9±18.7歳,男性37.8%)を分析対象とした。オーラルフレイルのリスク判定は,Oral Frailty Index-8を用いて評価し,オーラルフレイルのリスクと認知度との関連を分析した。次にオーラルフレイルの認知の有無と各項目との関連を検討後,認知の有無を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
 参加者の内,1,418名(28.1%)がオーラルフレイルのリスクが高く,オーラルフレイルを認知している者は1,495名(29.6%)であった。二項ロジスティック回帰分析の結果,オーラルフレイルのリスクはオーラルフレイルの認知度と有意に関連していた。そしてオーラルフレイルの認知度が低いのは,男性,高齢の者,住所地が川崎市,相模原市の者,運動習慣がない者,バランスのよい食事を心がけていない者,口腔の健康を意識していない者,オーラルフレイルのリスクが高い者,そして訪問診療の患者であった。オーラルフレイルのリスクが高い者において,認知度が低いという結果は,認知度向上に向けた取り組みが重要であり,認知度の低い集団の特性を考慮した周知を図る必要があると思われる。
(COI 開示:なし)
(神奈川歯科大学 倫理審査委員会承認番号 2642)