[P-51] 歯周疾患治療を通して口腔機能の向上と食育を推進させたアプローチ方法の1症例
【諸言・目的】
超高齢社会をむかえ要介護者の増加が問題視されているなか、オーラルフレイル予防に取り組むことが重要視される。しかし口腔機能訓練や食事改善を必要とされる患者に同意を得られないケースが稀にみられる。今回、歯科衛生士が歯周疾患治療を通して行った指導によりQOLの向上がみられたため報告する。
【症例および経過】
78歳男性。全身的既往症は2型糖尿病と変形性腰椎症である。主訴は下顎右側欠損部4本のインプラントブリッジに歯肉腫脹がみられ、歯周疾患治療を開始した。問診より滑舌が悪く感じ、上顎は全部床義歯であることから口腔機能低下から全身機能低下につながる可能性が考えられ、口腔機能検査を併用して行うことを提案したが受け入れられなかったため、歯周疾患治療のみを行うこととした。また糖尿病に対する認識が甘く主治医からの栄養指導の実施が困難であったとされたため、患者に受け入れやすい「噛ミング30」を主とした口腔からの食育推進を行った。
開始から1年後、歯周疾患は改善傾向であるが、腰痛により検査入院と脊椎固定術が予定され、入院による口腔衛生不良および体力低下を懸念した。入院前のメインテナンスでは口腔衛生管理と退院後の筋力の重要性を改めて伝えた。
退院後のメインテナンスでは、口腔衛生は改善が保たれていた。また退院後の歩行訓練の苦痛から筋力低下を自覚し機能訓練の必要性を再認識し患者自ら口腔機能検査を希望し検査を行った。結果は7項目中5項目が該当し口腔機能低下症と診断した。特に舌圧の低下が著しかったため、舌訓練をメインテナンスと同時に行った。
なお、本報告の発表について患者本人から文章による同意を得ている。
【考察】
入院中の口腔衛生が良好に保たれた要因として、ブラッシング手技習得の維持が考えられる。また歯周疾患治療と併用して行った舌訓練から舌圧の改善を認識したことで、健康に対する意欲が向上した。
Hba1cは入院食の経験と患者に寄り添った食育から7%から6%へ改善されたが、栄養摂取の観点からも多種職連携の必要性を痛感し今後積極的に行いたい。
今回の症例は患者自身の入院がきっかけで口腔機能訓練を実施することができたが、歯科衛生士として患者の行動変容を促すきっかけを与えることは重要である。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
超高齢社会をむかえ要介護者の増加が問題視されているなか、オーラルフレイル予防に取り組むことが重要視される。しかし口腔機能訓練や食事改善を必要とされる患者に同意を得られないケースが稀にみられる。今回、歯科衛生士が歯周疾患治療を通して行った指導によりQOLの向上がみられたため報告する。
【症例および経過】
78歳男性。全身的既往症は2型糖尿病と変形性腰椎症である。主訴は下顎右側欠損部4本のインプラントブリッジに歯肉腫脹がみられ、歯周疾患治療を開始した。問診より滑舌が悪く感じ、上顎は全部床義歯であることから口腔機能低下から全身機能低下につながる可能性が考えられ、口腔機能検査を併用して行うことを提案したが受け入れられなかったため、歯周疾患治療のみを行うこととした。また糖尿病に対する認識が甘く主治医からの栄養指導の実施が困難であったとされたため、患者に受け入れやすい「噛ミング30」を主とした口腔からの食育推進を行った。
開始から1年後、歯周疾患は改善傾向であるが、腰痛により検査入院と脊椎固定術が予定され、入院による口腔衛生不良および体力低下を懸念した。入院前のメインテナンスでは口腔衛生管理と退院後の筋力の重要性を改めて伝えた。
退院後のメインテナンスでは、口腔衛生は改善が保たれていた。また退院後の歩行訓練の苦痛から筋力低下を自覚し機能訓練の必要性を再認識し患者自ら口腔機能検査を希望し検査を行った。結果は7項目中5項目が該当し口腔機能低下症と診断した。特に舌圧の低下が著しかったため、舌訓練をメインテナンスと同時に行った。
なお、本報告の発表について患者本人から文章による同意を得ている。
【考察】
入院中の口腔衛生が良好に保たれた要因として、ブラッシング手技習得の維持が考えられる。また歯周疾患治療と併用して行った舌訓練から舌圧の改善を認識したことで、健康に対する意欲が向上した。
Hba1cは入院食の経験と患者に寄り添った食育から7%から6%へ改善されたが、栄養摂取の観点からも多種職連携の必要性を痛感し今後積極的に行いたい。
今回の症例は患者自身の入院がきっかけで口腔機能訓練を実施することができたが、歯科衛生士として患者の行動変容を促すきっかけを与えることは重要である。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)