一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-52] 脳卒中回復期リハビリテーション病棟入院時における摂食嚥下障害と口腔環境との関連性 -多機関共同研究-

○松尾 浩一郎1、日高 玲奈1、岩佐 康行2、大野 友久3、金森 大輔4、貴島 真佐子5、寺中 智6、古屋 純一7、関本 愉8,9 (1. 東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野、2. 原土井病院歯科/摂食・栄養支援部 、3. 浜松市リハビリテーション病院歯科、4. 藤田医科大学医学部 七栗記念病院歯科、5. わかくさ竜間リハビリテーション病院歯科、6. 足利赤十字病院 リハビリテーション科、7. 昭和大学大学院歯学研究科口腔機能管理学分野、8. 東京医科歯科大学大学院 老化制御学講座 高齢者歯科学分野、9. 医療法人宝生会 PL病院 歯科)

【目的】
 脳卒中患者では,嚥下障害や続発する栄養障害により口腔機能が低下している可能性がある。そこで,本研究では,脳卒中回復期における栄養状態と口腔環境の関連性を明らかにすることを目的とした。なお,本研究は,多機関共同研究(Stroke Oral-health Rehabilitation and Management, STORM Study)の一部として実施した。
【方法】
 5施設の回復期リハビリテーション(リハ)病棟に入院した脳卒中患者395名(女性171名,平均年齢73.5±12.0歳)を対象に,回復期リハ病棟入院時の脳卒中重症度としてmodified Ranking Scale(mRS),ADLとしてFunctional Independence Measures(FIM),経口摂取状況としてFunctional Oral Intake Scale (FOIS)を記録した。また,口腔環境の評価として,口腔機能低下症の基準に準拠した口腔機能の評価とOral Health Assessment Tool(OHAT)を評価した。FOISスコアより,嚥下障害(DYS)群と健常(NML)群との2群に分類し,各評価項目について,嚥下障害の有無による差異を統計学的に分析した。
【結果と考察】
 DYS群205名,NML群190名であった。rRS, FIMともにDYS群で有意に低下していた。口腔機能の評価項目では,DYS群,NML群ともに,舌圧,舌口唇運動機能,咬合力の値が,60%以上の対象者において基準値以下であった。DYS群とNML群との差(Mean Difference [MD], 95%CI)は,舌圧で6.73 (4.55-8.91)kPa,舌口唇運動機能の平均値で1.27 (0.95-1.59)回/s,咬合力でLog (0.15 [0.05-0.25])NとDYS群で有意に低値を示していた。残存歯数やOHATの合計スコアもDYS群で有意に低下していた。本結果より,回復期リハ病棟入棟直後の脳卒中患者では口腔機能が低下しており,摂食嚥下障害を有する場合にはさらに低下していることが示唆された。以上より,脳卒中回復期における摂食嚥下リハビリテーションには,嚥下機能の回復とともに口腔機能の回復も必要であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認番号 D2021-055)