The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 実態調査-2

実態調査-2(質疑応答)

Sat. Jun 29, 2024 2:20 PM - 3:20 PM ポスター会場 (大ホールC)

[P-62] 65歳以上の入院患者における口腔衛生不良の背景

○尾崎 研一郎1,2、寺中 智1,3、河合 陽介1,3、堀越 悦代1、戸原 玄2 (1. 足利赤十字病院 リハビリテーション科、2. 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)

【背景と目的】
高齢入院患者の口腔問題は多く報告されているが,口腔衛生が重症化しやすい高齢入院患者の背景を含めて調査している報告は少ない.今回,われわれは口腔衛生に注意すべき高齢入院患者の傾向を知るために調査したので報告する.
【方法】
2022年4月から2023年3月までに足利赤十字病院に入院した12,220人中,65歳以上かつ入院中の口腔アセスメントスコアが高かった口腔衛生不良の患者143人(男性86人,女性57人,平均年齢81.6±7.2歳)を対象とした.なお入院日に看護師が口腔アセスメントできなかった患者と複数回入院の入院患者は除外した.口腔アセスメントは,電子カルテ内に記録されたThe Holistic and Reliable Oral Assessment Tool (THROAT: Dickinson H. 2001)を用いた.THRAOTスコアは合計9点以上を口腔衛生不良と定義した.調査項目は入院経路,入院前の介護度,主科,入院の契機となった病名,Body Mass Index(BMI),入院時のTHROATスコア合計の平均値,手術の有無と内容,死亡退院等とした.解析はDiagnosis Procedure Combinationデータと口腔アセスメント結果を連結させて行った.
【結果と考察】
入院経路では自宅 128人(90%),施設 11人(7%),転院 4人(3%)であった.入院前の介護度は無:84人(59%),要介護4:14人(10%),要介護2:12人(8%)と続いた.主科別では内科86人(60%),脳外科22人(15%),循環器科13人(9%)と続いた.入院の契機となった病名では,脳梗塞15人(10%),うっ血性心不全11名(8%),誤嚥性肺炎もしくは細菌性肺炎9人(6%),脳出血8人(6%)と続いた.BMIは平均20.9±3.4 kg/m2であった.入院時のTHROATスコア合計は平均4.2±3.7点であった.手術は29人(20%)が受けており,死亡退院は59人(46%)であった.脳血管障害や肺炎,心不全患者で入院した患者は特に注意して口腔管理を継続する必要があると考えられた.今後は,併存疾患,栄養摂取状態,酸素療法デバイスの有無,そしてTHROATスコアが最も悪化した状況について調査する.(COI開示:なし)(足利赤十字病院 倫理委員会 番号2020-12)