[P-66] 施設入所前後で口腔状態の変化を評価した要介護高齢者の1症例
【緒言・目的】
在宅介護は必要な介護サービスを利用しながら住み慣れた自宅で生活できるメリットもあるが、介護する家族の肉体的・精神的負担も大きく、介護疲れを招きやすいなどのデメリットもある。今回、在宅要介護高齢者で家族の負担軽減が必要となり、在宅から施設入所に至った症例について、口腔状態が施設入所前後でどのように変化するのか検討したので報告する。
【症例および経過】
62歳、アルツハイマー型認知症の女性。2019年12月初診、キーパーソンは夫でう蝕治療を主訴に来院した。身長153.0㎝、体重44.0㎏、日常生活自立度C-2、移動は車椅子全介助で発語は無く、重度の認知機能低下を認めた。口腔内所見ではう蝕歯が多数存在し、全顎的に歯石沈着と歯肉の発赤、腫脹を認めた。口腔清掃は全介助で含嗽は困難であった。1回/月の来院でう蝕治療と歯周基本治療を行い、その後の定期健診ではOral health Assessment Tool(OHAT)を用いて口腔状態を評価した。初診時の摂食嚥下レベル(functional oral intake scale;FOIS)はLevel5であったが、誤嚥性肺炎で入院し胃瘻造設による経管栄養に移行した。施設入所前後の口腔状態は4ヵ月間のOHATスコア(中央値)を用いて比較した。本症例の発表については患者家族から口頭による同意を得た。
OHATの合計スコアと下位項目の口唇および舌の各スコアが施設入所後に増加した。
【考察】
本症例は在宅介護期間中には比較的良好な口腔状態を維持していたが、施設入所後に悪化した。施設では複数の職員による口腔衛生管理が行われているため、口腔清掃技術の個人差やマンパワー不足などの要因が口腔状態悪化に影響したと考えられた。また施設職員への十分な情報提供と歯科衛生実地指導ができなかったことも影響した可能性がある。在宅介護から施設入所になる要介護高齢者では、施設職員への口腔衛生に関する知識や口腔清掃技術に関する歯科衛生実地指導の方法が重要になると考えられた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
在宅介護は必要な介護サービスを利用しながら住み慣れた自宅で生活できるメリットもあるが、介護する家族の肉体的・精神的負担も大きく、介護疲れを招きやすいなどのデメリットもある。今回、在宅要介護高齢者で家族の負担軽減が必要となり、在宅から施設入所に至った症例について、口腔状態が施設入所前後でどのように変化するのか検討したので報告する。
【症例および経過】
62歳、アルツハイマー型認知症の女性。2019年12月初診、キーパーソンは夫でう蝕治療を主訴に来院した。身長153.0㎝、体重44.0㎏、日常生活自立度C-2、移動は車椅子全介助で発語は無く、重度の認知機能低下を認めた。口腔内所見ではう蝕歯が多数存在し、全顎的に歯石沈着と歯肉の発赤、腫脹を認めた。口腔清掃は全介助で含嗽は困難であった。1回/月の来院でう蝕治療と歯周基本治療を行い、その後の定期健診ではOral health Assessment Tool(OHAT)を用いて口腔状態を評価した。初診時の摂食嚥下レベル(functional oral intake scale;FOIS)はLevel5であったが、誤嚥性肺炎で入院し胃瘻造設による経管栄養に移行した。施設入所前後の口腔状態は4ヵ月間のOHATスコア(中央値)を用いて比較した。本症例の発表については患者家族から口頭による同意を得た。
OHATの合計スコアと下位項目の口唇および舌の各スコアが施設入所後に増加した。
【考察】
本症例は在宅介護期間中には比較的良好な口腔状態を維持していたが、施設入所後に悪化した。施設では複数の職員による口腔衛生管理が行われているため、口腔清掃技術の個人差やマンパワー不足などの要因が口腔状態悪化に影響したと考えられた。また施設職員への十分な情報提供と歯科衛生実地指導ができなかったことも影響した可能性がある。在宅介護から施設入所になる要介護高齢者では、施設職員への口腔衛生に関する知識や口腔清掃技術に関する歯科衛生実地指導の方法が重要になると考えられた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)