一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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その他(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-77] 咀嚼機能の低下した高齢者における咀嚼回数ともぐもぐ日記アプリ内指標『もぐもぐスコア®』の関連の検討

○加藤 麻奈1、早川 美知2、白部 麻樹2、平野 浩彦2,3、坂田 穏行1、川上 智美1、宮地 一裕1、本川 佳子2 (1. 森永乳業株式会社 健康栄養科学研究所、2. 東京都健康長寿医療センター研究所、3. 東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科)

【目的】
 食習慣サポートアプリ『もぐもぐ日記』(㈱クリニコ)は、AI画像判定を含む独自アルゴリズムを用いて、写真から食事をスコアリングする機能を有する。食事スコアの一つであるもぐもぐスコアは、健常者のメニュー毎の一口当たりの咀嚼回数を基に算出される。既定メニューの一口当たりの咀嚼回数と異なり、普段の食事における総咀嚼回数は、食事のテクスチャ、個人の食習慣、食事量及び口腔機能等の影響を受ける可能性がある。本研究では、咀嚼機能の低下した高齢者の普段の食事における、もぐもぐスコアと総咀嚼回数の関連を検討した。

【方法】
 2022年の板橋お達者健診2011年コホート参加者のうち、低栄養傾向の咀嚼機能低下者を対象としたアプリを用いた食事支援効果に関する研究に参加した27名の中で、咀嚼回数の評価を実施した8名(うち女性7名、平均年齢70.6 ± 3.2歳)を本研究の対象とした。
調査期間は7日間とし、被験者は普段の食事についてアプリへの食事写真登録と、食事開始から終了までの総咀嚼回数を咀嚼計(bitescan、シャープ㈱)を用いて測定した。口腔運動に関する因子として、舌圧、オーラルディアドコキネシス/ta/、咀嚼チェックガムによるガムスコアを測定した。総咀嚼回数を目的変数、もぐもぐスコアを説明変数、口腔運動に関する因子を調整変数とした重回帰分析を行い、総咀嚼回数ともぐもぐスコアの関連を検討した。また、被験者毎のもぐもぐスコアと総咀嚼回数についてSpearmanの順位相関係数を求めた。

【結果と考察】
 調査期間中、もぐもぐスコアと総咀嚼回数の両方の値が得られた食事は計181回であった。総咀嚼回数を目的変数とした重回帰分析を実施したところ、もぐもぐスコアと総咀嚼回数に有意な関連を認めた(β(標準化回帰係数)= 0.246, p < 0.001)。被験者毎の解析では、食事記録数が極端に少ない1名を除いた7名のうち、5名でもぐもぐスコアと総咀嚼回数に有意な正の相関が認められた。以上からもぐもぐスコアと咀嚼回数に一定の関連性を認めた。一方で、咀嚼回数に影響を及ぼす被験者要因について十分に検討できていないため、今後、食習慣や口腔機能等の影響についてさらに検討していく予定である。

(COI 開示:森永乳業株式会社)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認番号 R22-065)