The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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その他(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-78] 食事時間と口腔機能との関連における性差の検討

○横井 美有希1、竹内 真帆1、丸山 真理子1、春田 梓1、高橋 優太朗1、丸山 詩央1、香川 和子1、吉川 峰加1、吉田 光由2、津賀 一弘1 (1. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学、2. 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)

【目的】
 「早食い」は肥満などの生活習慣病との関連が示されているが,過去の研究の多くは,「早食い」をアンケートによる主観的方法により規定するのみで,客観的な食事時間と口腔機能の関連性を明らかにしたものは少ない。そこで今回,客観的に測定した試験食品の食事時間を用いて「早食い」と口腔機能との関連を調査し,性別ごとにその影響を検討した。
【方法】
 対象は本研究の趣旨を理解し同意を得た成人男性53名(27.6±7.6歳),女性47名(29.0±7.6歳)とした。咀嚼回数および試験食品を口に運ぶ回数(一口回数)の測定には,ウエアラブル咀嚼回数計(bitescan®,シャープ)を用いた。試験食品(サトウのご飯150g,サトウ食品)の最初の一口(一口量)をキャリブレーションに使用し,キャリブレーション後に残量を測定した。測定後は試験食品すべてを自由に摂取させ,完食するまでの時間を総食事時間として,100gあたりの食事時間を計算した(100g食事時間)。口腔機能検査では,口腔湿潤度測定(ムーカス®,ライフ),咬合力測定(プレスケールⅡ®,ジーシー),舌圧測定(TMP-02®,ジェイ・エム・エス),舌口唇運動機能評価(健口くんハンディ®,竹井機器工業),咀嚼機能評価(グルコセンサー®,ジーシー)を測定した。統計解析は,100g食事時間と相関関係が認められた検査項目を用いて,重回帰分析を行った。
【結果と考察】
 男性では,100g食事時間と相関があった項目は一口量,左右バランス,一口の平均咀嚼回数,一口回数であり,これらを用いて多変量解析を行った結果、100g食事時間を有意に決定づける独立変数として一口量と一口回数(一口量:p=0.0004,一口回数:p=0.0052)が抽出された。女性では,100g食事時間と相関があった項目は舌口唇運動機能評価(/pa/,/ka/),BMI,一口の平均咀嚼回数であり,その中から100g食事時間を有意に決定づける独立変数として一口の平均咀嚼回数(p=0.01)が抽出された。以上の結果から,男性では,1回に大量に食品を口に入れて「早食い」をしており,女性では,口に入れる食品の量は同じでも噛む回数が食事時間の長さに関わっており,性別を考慮した食事指導が必要となることが示唆された。
(COI開示:なし)(広島大学 倫理審査委員会承認番号 E-2624)