一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-3(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-84] 相模原市歯科医師会のオーラルフレイル事業への取り組み

○鈴木 重紀1、田中 雄一郎1、奥森 直人1、壁谷 玲1、宮野 詳子1、安藤 一郎1、浅川 和也1、佐々木 道宏1、川崎 正宗1、菊池 由里1、薄井 信子2、菊池 剛1、布施 厚子1、寺崎 浩也1 (1. 公益社団法人 相模原市歯科医師会、2. 特定非営利活動法人 神奈川県歯科衛生士会 相模原支部)

【目的】
 公益社団法人相模原市歯科医師会(以下:本会)では,口腔のケアと口腔機能改善のために市の委託事業である地域高齢者団体等に向けた「お口の健康教室」や,市民向けイベントに参加してきた。2023年3月に相模原市健康づくり推進条例が公布され,今までの本会活動の成果として,市の基本施策に初めてオーラルフレイル施策が盛り込まれた。そこでCOVID-19流行以前から現在までに本会が行ってきたお口の健康に関する事業への取り組みや成果,今後の展望について報告する。
【方法】
 2019年にオーラルフレイルの定義が明文化されたのに合わせて,上記事業やイベントにオーラルフレイル予防の話を追加し啓発活動を開始した。参加者のうち,神奈川県歯科医師会オーラルフレイルプロジェクトで使用した「オーラルフレイルのスクリーニング問診票(以下:OFI-8)」を191人(平均年齢80.4歳;65~97歳)に体験してもらった。(同意取得済み)
【結果】
 OFI-8を行った191人のうち134人(70%)に3点以上のオーラルフレイルの危険性があることが判明した為,この結果を第19回神奈川県歯科医師会学術大会にて報告し,市に対して現状を訴える大きな契機となった。
【考察】
 2020年COVID-19流行により全ての事業やイベントが制限または中止となり,代替え案として動画配信を行った。4つのシナリオを作成し,「オーラルフレイルかもしれません」というキメフレーズとともに,歯科医師と歯科衛生士による説明や解説動画を作成した。動画は,市民だけでなく医療従事者,介護従事者,地域包括支援センター職員等のオーラルフレイルに関する対応力向上の教育にも有効活用できた。2023年にCOVID-19による活動制限がなくなり,オーラルフレイルの危険性がある対象者向けの新たな市の補助事業の予算を獲得し,「オーラルフレイル予防教室」を設立した。教室では講話だけでなく口腔機能検査を行い,改善プログラムの提案をして地域の歯科診療所へ紹介をしている。今後の課題は,口腔機能低下症の診断および対応できる歯科医院が少なく,本会として協力医養成講座の開催や保険算定の指導などが必要と考えられる。また,市と連携し市民に対して健口についての啓発活動を続けていくことが健康長寿に繋がり,医療費のひっ迫に歯止めをかけることに繋がる可能性が考えられる。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)