The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター発表) » 実態調査-3

実態調査-3(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-95] 頭頸部癌患者におけるかかりつけ歯科医の有無と口腔機能低下症の調査

○本釜 聖子1、武田 紗季1 (1. 愛媛大学医学部附属病院 歯科口腔外科・矯正歯科)

【目的】
 愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科・矯正歯科外来における,頭頸部癌患者のかかりつけ歯科医の有無と口腔機能低下症の実態について調査したので報告する。
【方法】
 当院歯科口腔外科・矯正歯科を2022年4月から2023年12月までの間に受診した頭頸部癌患者で,口腔機能精密検査を実施した成人54人(男性38人,女性16人,平均年齢70.2±9.5歳)を対象とした。口腔不潔は,視診による舌苔スコア,口腔乾燥は口腔水分計ムーカスによる口腔湿潤度,咬合力は残存歯数,舌口唇運動機能はオーラルディアドコキネシス,低舌圧は最大舌圧,咀嚼機能はグルコース溶出量,嚥下機能はEAT-10を実施した。かかりつけ歯科医の有無については,「かかりつけ歯科医はありますか(5年以上受診経験がないものはなし)」の問いに対し,「あり」「なし」で回答する質問形式にて把握した。また,原発腫瘍の大きさを表すT分類について診療録より調査を行った。分析は,口腔機能低下症の罹患率と該当項目数,該当率を算出し関係性について検討した。
【結果と考察】
 口腔機能低下症は,72.2%に認めた。該当項目数平均は3.5項目であった。かかりつけ歯科医の有無で,あり群37人,なし群17人にわけた。口腔機能低下症罹患率は,あり群は67.6%,なし群は82.4%であった。該当項目数平均は,あり群は3.2項目,なし群は4.1項目であった。該当項目数は,あり群では,4項目該当が多かったのに対し,なし群では5項目該当が多かった。各項目の該当率はあり群,なし群で口腔不潔2.7%,5.9%,口腔乾燥29.7%,47.1%,咬合力低下73.0%,88.2%,低舌圧81.1%,82.4%,舌口唇運動機能低下73.0%,94.1%,咀嚼機能低下37.8%,70.6%,嚥下機能低下32.4%,29.4%であった。T分類においては,両群ともに,T2該当者が一番多かった。あり群では,癌の進行度が増すと,口腔機能低下症罹患率が高くなり,該当項目数が増した。さらに,舌圧と舌口唇運動機能は低下した。本研究の結果より,口腔機能低下症罹患率は,なし群はあり群より高かった。今後は,被験者数を増やし,頭頸部癌患者とかかりつけ歯科医を持つことの関連性を捉えることができるよう調査を進める。
(COI開示:なし)
(愛媛大学 倫理審査委員会承認番号 2110014号)