一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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実態調査-3(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-96] 地域在住者におけるかかりつけ歯科医の有無と口腔機能低下症との関連性の調査

○武田 紗季1、内藤 禎人2、本釜 聖子1 (1. 愛媛大学医学部附属病院 歯科口腔外科・矯正歯科、2. スウェーデン歯科こくふ)

【目的】
 かかりつけ歯科医は,国民の健康長寿の延伸のため,「患者の乳幼児期から高齢期までのライフステージに応じた継続管理や重症化予防のための適切な歯科医療の提供および保健指導を行い,口腔や全身の健康の維持増進に寄与する」という役割がある。今回,地域在住者におけるかかりつけ歯科医の有無と口腔機能低下症との関連性について調査したので報告する。
【方法】
 2020年7月から2023年12月までの間に当院歯科口腔外科・矯正歯科またはスウェーデン歯科こくふを受診した患者で,口腔機能精密検査を実施した50歳以上の成人128人(男性53人,女性75人,平均年齢76.0±12.3歳)を対象とした。口腔不潔は,視診による舌苔スコア,口腔乾燥は口腔水分計ムーカスによる口腔粘膜湿潤度,咬合力は残存歯数,低舌圧は最大舌圧,舌口唇運動機能はオーラルディアドコキネシス,咀嚼機能はグルコース溶出量,嚥下機能はEAT-10を実施した。分析は,口腔機能低下症の罹患率と該当項目数,該当率を算出し関連性について検討した。
【結果と考察】
 かかりつけ歯科医の有無は,スウェーデン歯科こくふを1年以上継続して受診している患者を有群,当院歯科口腔外科・矯正歯科を受診し,5年以上歯科医院へ受診歴のない患者を無群とした。また,50-64歳を壮年者群,65-74歳を前期高齢者群,75歳以上を後期高齢者群と定義した。口腔機能低下症罹患率は,有群,無群で,壮年者群0%,26.1%,前期高齢者群87.5%,40.9%,後期高齢者群91.8%,88.0%であった。該当項目数平均は,有群,無群で壮年者群2.0項目,1.6項目,前期高齢者群3.0項目,2.6項目,後期高齢者群3.6項目,3.8項目であった。口腔機能低下症罹患率は,壮年者群を除いて,有群が無群より高かった。項目数平均は,前期高齢者までは有群,後期高齢者では無群が多かった。該当率は,有群よりも無群において,咬合力,咀嚼機能低下,嚥下機能低下の項目が高かった。 
 本研究より,無群では,後期高齢者群は,前期高齢者群と比較し,口腔機能低下症罹患率が著しく増加していたものの,有群では,ほぼ変わらなかった。今後は被験者を増やし,かかりつけ歯科医の有無と口腔機能低下症との関連性を詳細に調査する予定である。
(COI開示:なし)
(愛媛大学 倫理審査委員会承認番号 2110014号)